1週間の連続休暇取得が生む好循環

超多忙なIT企業でありながら、1週間の連続休暇取得率9割超という驚異的な制度をもつ日本システムウエア。そこにポジティブ・オフの概念が加わり、新たな効果が生まれはじめた。

1994年という早い時期から独自の休暇制度を取り入れ、今や社員の間でもすっかり年に1回の1週間連続休暇が「あたりまえ」になっているのが、今回取り上げる日本システムウエア(本社:渋谷)だ。制度の名称は「NSWホリディ」。日本システムウエアの社名と「New Super Week」を掛け合わせている。

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1週間連続休暇の取得率は9割超

制度の中身は、社会全体で慣行の夏季一斉休暇を廃止し、全社員に年1回、5日間連続の特別休暇を与えるというもの。前後に土日を加え、有給休暇もプラスして、9日以上の連続休暇で海外旅行を楽しむ社員も多いという。ただでさえ忙しいイメージのIT企業、連続して1週間もの休暇を取得できることそのものが驚きだが、さらに目を見張るのが取得率の高さだ。

人事部人材戦略グループ長の南修氏は、「NSWホリディの全社利用率は、2012年度は92.3%、2011年度は93.6%で、ここ数年は安定的に9割を超えています」と言う。制度を掲げること自体は難しいことではない。しかし、それを全社員が実行に移すには壁があり、そこが多くの企業の悩みどころでもある。同社は、どのようにその壁を乗り越えて9割を超える取得率を維持しているのだろうか。

「私の入社直後に制度化されたので、社員にすればもう普通のことなのですが、取得しやすくするような工夫は施しています。一つは、ルールをシンプルにすること。

もう一つは、社員に休暇を取らせるよう管理職に義務を課していることです。ルールは、連続5日間の取得と原則2カ月前までの申請という2つだけ、管理職への働きかけは、制度の実施要領に『取得指導』という条文を設けて明文化しています。

もちろん管理職本人も率先して取っているので、それが取得しやすさにつながっているのかもしれません。私も昨年は8月に取得し、家族と国内旅行を楽しみました」(南氏)取得できたとしても、業務に支障が出てしまっては本末転倒だ。それに対する担保として多くの部署では、部署の全員が事前にNSWホリディ計画を提出して調整する。組織全体として、互いの仕事内容を共有・カバーし合う体制を維持し、個人レベルでは、抱えているプロジェクトが終わるタイミングを見計らってホリディを取得するため、業務への影響はほぼないという。

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