食で社会をデザイン

食の魅力は、味だけにあるのではない。誰かと一緒に食事を楽しむ経験が、生活に彩りを与え、その人にとって大切な思い出になったりもする。そうした食の多様な魅力を活かして、地域の活性化を目指すNPOがある。

昨年3月、長野電鉄・屋代線で行われたイベント「ワイントレイン」。電車内で地元産のワインと食事を味わい、途中の駅では地元の高校生による演奏会も行われた。多くの参加者を集め、大盛況のイベントとなった

昨年3月、長野県のローカル線に乗りながら、地元産のワインを味わう一風変わったイベントが開かれた。名付けて「レールツーリズム長電"さよなら屋代線"ワイントレイン」。当日は多くの参加者が集まり、小布施のワインと特製のお弁当を食べながら、廃線となる長野電鉄・屋代線を約3時間かけて走った。

ソムリエを務めたのはプロではなく、地元出身の学生や社会人。一生懸命に練習を重ねて、イベントの成功に大きく貢献したのである。

地域の住民とともに、そのイベントを作り上げたのがNPO法人フードデザイナーズネットワークだ。理事を務める中山晴奈氏は、「フードデザイナー」の肩書きを名乗る。

「食の問題に1人の力で取り組むのは難しい。でも、いろいろな専門家が能力を発揮して、地域の人や消費者を巻き込めば、解決することができる。

そのためには、協働を促すコーディネーターが必要。それが、フードデザイナーの役割です」

地域には、魅力的な資源がたくさんある。しかし、それが活かされていないことは多い。中山氏は地域におもむき、住人の話を丁寧に聞きながら、商品開発や観光プログラムの作成につなげていく。それは何か新しいものを生み出しているわけではなく、すでにある素材を編集し、デザインし直すことで、新たな価値を作り出すことなのだ。

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