「家族会議」は整理と発見の場

事業承継のパターンで最も多いのが、全体の65%を占める親族内承継だ。事業承継の失敗、後継者不在が原因の転廃業が、7万社にものぼる現在、親族へどう引き継ぐかは、企業の存続を決める重要な課題になる。

団塊世代のサラリーマンの定年退職はピークを迎えた。しかし、団塊世代の経営者の世代交代は、これから本格化する。全国に中小企業は約430万社あり、年間29万社が転廃業を選択している。そのうち、事業承継の失敗、後継者不在が原因の転廃業は、7万社にものぼる。

現在、リーマンショック後の業績ダウンで、事業承継を先送りしている中小企業も多いと見られる。しかし、事業承継を先送りしても、ただ時間が無駄に過ぎるだけで何も変わらない。逆に業界全体の赤字基調を利用し、節税の機会とすることも考えられる。

また、この厳しい時期は、後継者教育のチャンスでもある。後継者にバトンタッチし、新しい時代に合った企業へと「経営革新」を図らなければならない。

企業を存続させながら、人は寿命とともに交替するのが、自然の摂理だ。

進化論の本質は、環境の変化に対応し、自らを変えた種のみが生き残ったことである。

中小企業のトップは、経営の本質を「知的経営資源」と捉え、次代に継ぐべきものを明確化することが求められるのだ。

娘婿が後継者になったA社

事業承継の課題は十人十色だが、今回は全体の65%を占める親族内承継のケースを取り上げる。

A社は食品製造販売業で、資本金1000万円、社長が自社株全部を保有している。従業員11名で、パートが30名。創業から40年がたち、娘ばかりの家系である。妻が経理を担当し、次女は経理の手伝いをしている。

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