フィロソフィを手帳で携帯 「本気」の意識改革を推進
経営破綻後に会長に就任した稲盛和夫氏の下、新たな企業哲学を策定。そうした哲学を現場に浸透させるべく地道な取組みを続け、縦割りの打破、保守的な企業体質の変革が進められている。
笑顔の写真を添えた手書きの文章が、羽田空港近くの日本航空のオフィスビルの一室に張り出されている。JALが更生会社であった2011年から社員の手によって始められた「JALフィロソフィリレー」の一部だ。職種や組織を超えてJALグループ社員が毎週1人ずつのペースでバトンタッチを繰り返し、JALフィロソフィに関する経験を簡潔につづっている。
リレーはすでに100人を超え、そのすべてを社内のイントラネットで読むこともできる。
JALフィロソフィとは、今後JALが、どのような考え方、どのような哲学をベースに経営されるかを示す指針であり、社長や経営幹部を含めた全グループ社員が同じ意識、価値観、考え方を共有する企業哲学である。JALフィロソフィは2部9章、全40項目からなる。手帳として携帯できるようグループ社員全員に配布されており、日常業務で参照されることも多い。
稲盛和夫氏が自らリーダー教育を実施
JALは10年1月に会社更生法の適用を受けるまで、同じ会社であっても社員同士の横のつながりが薄く、加えて保守的な企業体質は社員にコスト意識を乏しくさせ、経営に対して関心も薄かった。
こうした意識を変えようと、経営破綻後に会長に就任した稲盛和夫氏(現名誉会長)の経営哲学を参考につくられたのがJALフィロソフィだ。わずか3年で業績をV字回復させた背景の一つに、その存在が大きいという。
では、稲盛氏はどのように意識改革を行ったのだろうか。意識改革・人づくり推進部部長の野村直史氏は、「最初に手がけたのは、リーダー層の意識改革でした。その後、社長直轄で意識改革・人づくり推進部を設置しました」と振り返る。
10年6月、社長以下在京の全役員、部長級の経営幹部の52名が集められると徹底したリーダー教育が行われた。稲盛氏自らが講師を務め、リーダーとはいかにあるべきか、同氏の「稲盛経営12ヵ条」をひも解きながら熱く語りかけた。
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