線と面 文字からのイマジネーション

絵文字、WeChat、カカオトーク、LINEと手軽で豊かな表現力のある2次元スタンプのコミュニケーションアプリが次々に登場している。

世間はスマートフォンを介して単純化された文字コードによって形成された旧式の貧しいメディア文明から古代エジプトのヒエログリフの世界にタイムスリップしたかのようである。それはデジタル世代の伝統的な文字文明への異議申し立てであるかもしれないし、数千年の歴史の重みを持つ多様化した文字コード文化、言語のスキマを埋めて新たな価値が創出される前触れかもしれない。

アルファベットと漢字

文字表現の違いと心

セム人やギリシャ人はヒエログリフと楔形文字を同化、反応させ、言葉に音素文字を並べた綴りと空白を対応させるためのアルファベットを創り、話し、書き、読む文明を開花させた。この線状に並べられた1次元の記号の列から構成される言語体系は、その簡便さから地域や文化に対応した様々なスタイルの〝ソーシャルネットワーク〟の基盤となり、結果として英語は最も多くの国・地域・人々によって使用されている言語となった。一方、かたちに意味が対応する表意文字である漢字は文字の種類が最大の集合であり、一つの文字には、個別の意味を持つ形態素が一つあるいは複数組み合わされて、平仄と四声として区別される音と意味に対応付けられ、点から面、そして多様な概念空間へと広がる。

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