2013年4月号
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現代日本のイノベーター

危急存亡の時に顧客が守ってくれる個人店の経営哲学

嶋田淑之(自由が丘産能短大教員)

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ビア&カフェ「ベルク」。JR新宿駅の東口改札を出て15秒、「ルミネエスト」B1。わずか15坪の店ながら、年間売上は約2億円にのぼる

「地方の時代」と言われるようになって久しい。たしかに地方の名産品が注目を集め、全国的な人気を博しているケースも少なくない。しかし、各地方の中核都市に行けばわかることだが、駅ビルであれ、大規模複合商業施設であれ、そのテナントとして入っている店舗は、その大多数が、東京など大都市圏を中心に多店舗展開している企業の支店である。

そうした現象は、飲食・ファッション・音楽など、大都市圏の最新の流行やライフスタイルを、地方の人々(特に若い世代)にリアルタイムで伝えるという利点を有する。

しかし、それは、同時に、その地方で長く親しまれてきた、個性のある個人店が続々と消えてゆくことをも意味している。東京などの大資本による地方都市の画一化の進行ということだ。

生き残りが困難になっている、こうした各地方の個人店の間で、有力なサバイバル・モデルとして近年大きな注目を集めているお店がある。ビア&カフェ「ベルク」。そして、その経営者が井野朋也さん(52)と、井野さんの仕事と人生のパートナー迫川尚子さん(51)だ。

社会的仮面を脱いで素に戻れる究極の時空間

ベルクには、「コーヒー職人」(久野富雄氏、55)、「パン職人」(高橋康弘氏、56)、「ソーセージ職人」(河野仲友氏、64)という通称「3大職人」が毎日納入

新宿駅の東口改札を出て15秒、「ルミネエスト」B1にベルクはある。わずか15坪の店ながら、社員10人、アルバイト約30人を抱え、年間売上は約2億円。平日は平均1500人以上、土日祝祭日は2000人ものお客さんが押し寄せる大繁盛店だ。

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