事業承継は経営革新のチャンス

ファミリービジネスにとって「歴史的な出来事」である経営トップの交代は、腰を据えて新たな経営ビジョンを打ち立てる良いチャンス。この機会をいかに生かすのか―そのスタンスの在り方、小売業ならではの戦略の取り方を探った。

ファミリービジネスの強みと問題点

日本では創業百年を超える企業が2万~3万社あり、その大半がファミリービジネスであると言われている。ファミリービジネスとは、創業者や創業者の親族など、いわゆる創業家が中心となって経営されている企業を指し、同族企業とかオーナー系企業と呼ばれることが多い。ファミリービジネスの定義として明確なものはないが一般には、(1)創業家が議決権を保有し、(2)創業家が経営の主要メンバーとして関与している企業と解される。

ファミリービジネスは独自の強みを持つ一方、逆に問題点も抱えやすい。強みとしては、(1)長期的視点で経営ができる、(2)迅速な意思決定が可能である、(3)伝統や独自の経営理念を持っている、(4)地域との共生関係が確立している、などの点を挙げることができる。

一方、(1)ガバナンス機能の欠如、(2)身内に対する甘さ、(3)親族間の係争、という問題点を抱えることもある。

ファミリービジネスを理解するためのフレームワークとして、スリーサークルモデル(1982年に当時ハーバード・ビジネススクールの教授であったRenatoTagiuriとJohnA.Davisによって提唱された概念)が有効である。これはファミリービジネスを所有、経営、ファミリーという3つの要素から成る複合体であると考えるものである。3つのサークルで区分された7つ領域に属するステークホルダーの立場の違いによって様々なコンフリクトが生じることになる。

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