2021年6月号
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ザ・ライバルズ

コロナで売上は1/3、再生のカギはどこに? JALvsANA

月刊事業構想編集部

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収束の兆しが見えないコロナ禍で、JALとANAは売上高が前年度の3分の1程度に減少。利用客の消失、便数の激減という、かつてない危機的な状況の中で、貨物ビジネスの強化や社員の外部出向の強化で懸命に雇用を守っている。再建を目指す航空トップ2社の現状を見る。

ありとあらゆる方法で再建を目指す、航空2社

コロナ禍で旅行需要が消失し、トップ2社の日本航空、ANAホールディングスをはじめ、航空業界は未曾有の危機的状況に喘ぐ。

日本航空の2021年3月期第3四半期の売上収益は、前年同期比65%減の3565億円となり、通期では約3000億円の純損失が見込まれる。ANAホールディングスの2021年3月期第3四半期は、売上高が5276億円と前年同期から1兆円以上減り、当期純利益は864億円(同3960億円減)にとどまった。固定費の削減、路線の集約、運休、余剰機材の処分などはもちろん、これまで手がけてこなかった中距離LCCにも力を入れるなど、両社ではありとあらゆるアイデアを絞り出しながら、懸命の経営努力が続く。ANAホールディングスでは、駐機中の機材を結婚式場として貸し出したり、ファーストクラス、ビジネスクラスで機内食を楽しむレストランにするといったサービスまで打ち出している。

そうしたなか、両社が活路を見出したのは貨物需要の取り込みだ。日本航空は、旅客機を利用した貨物専用便の積極的な運航や、他社の貨物機をチャーターした大口需要の取り込みなどによって、2020年4月から12月の貨物事業収入は前年比31.5%と大幅に増加した。ANAホールディングスでは、高単価貨物を優先して取り込み、旅客機の活用も含めて貨物事業を拡大した結果、10-12月期の国際線貨物収入は前年同期比88%と大幅に増加、過去最高の508億円を記録している。物流ネットワークを支え、機材を有効活用する貨物事業は、今後の再建に向けて存在感を高めていきそうだ。

社員の他企業への一時的な出向、ボーナスカットなど、人件費に切り込むのもやむを得ない選択だ。日本航空では、1日当たりの出向者を従来の約1000人から2021年4月以降は約1400人に増員。1日から最長2年の期間、鹿児島県などの自治体や、家電販売のノジマなど、約120社・団体に社員を送り込んでいる。ANAホールディングスでは、当初見込みでは延べ約400人だった出向者累計が約750人になっている。半年から2年程度を目安に、兵庫県姫路市や沖縄県浦添市などの自治体、スーパーの成城石井など約200社・団体への出向が行われている。

雇用を守り、苦難の時期を乗り越え、再建を目指す取り組みは今後も続く。コロナ禍が収束してもなお、債務調整など難しい経営の舵取りを迫られることは必至だ。現在の死にものぐるいの経営努力が糧となって、新たな時代の航空産業の姿として結実することに期待したい。

両社概要

日本航空

設立 1951年
本社 東京都品川区
代表 赤坂 祐二(代表執行役社長執行役員)
資本金 3, 558億円
従業員数 35, 653名(連結)
主なグループ会社 ●航空運送:ジェイエア、日本エアコミューター、北海道
エアシステム、日本トランスオーシャン航空、琉球
エアコミューター、ZIPAIR Tokyo、ジェットスター・ジャパン
●グランドハンドリング:JALグランドサービス など5社
●空港旅客サービス:JALスカイ など7社
●整備:JALエアテック など3社
●貨物:JALカーゴサービス など6社
●空港周辺事業:JALエービーシー など2社
●燃料:沖縄給油施設
●旅客販売:JALJTAサービス、ジャルセールス、
JALナビア、ジャルパック など10社
●その他:機内食、不動産・建設、文化・教育・人材、
商事・流通、金融・カード、情報 など17社

出典:同社ホームページ

使用航空機数 241
年間旅客数 4,206万人(2019年度)
乗り入れ国/地域 66ヵ国/地域(国内線53都市、国際線48都市)
運行路線数 187(国内線127、国際線60)
運行便数 10, 029(国内線9, 036、国際線993)
定時出発/到着率 国内線96.22/95.04%、国際線92.15/94.06%

出典:同社ホームページ

 

ANAホールディングス

設立 1952年
本社 東京都港区
代表 片野坂 真哉 ( 代表取締役社長)
資本金 3, 187億円
従業員数 45, 849名(連結)
主なグループ会社 ●航空運送:全日本空輸、エアージャパン、
ANAウイングス、Peach Aviation
●航空機整備:ANAベースメンテナンステクニクス、
ANAラインメンテナンステクニクス など5社
●空港地上支援:ANA新千歳空港、ANAエアサービス
福島、ANA成田エアポートサービス など11社
●車両整備:全日空モーターサービス など2社
●貨物・物流:ANA Cargo など3社
●総合商社:全日空商事 など8社
●その他:セールス&マーケティング、コンタクトセンター、
フライトケータリング、IT、人材・ビジネスサポート、
不動産・ビルメンテナンス、調査研究・シンクタンク、
航空機操縦士養成の事業会社 計15社

出典:同社ホームページ

運用航空機数 307
年間旅客数 5,962万人(2019年度)
就航空港数 101(国内線53都市、国際線48都市)
年間貨物輸送重量 123. 9万トン
定時出発/到着率 国内線90.0 / 87.8%、国際線82.9 / 85.5%

出典:同社ホームページ

 

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