2020年12月号
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サイバー文明の夜明け ~激変する経済環境を生き抜く

所有権が重視されなくなる社会で徐々に広がるビジネスモデル

國領 二郎(慶應義塾常任理事、慶應義塾大学総合政策学部教授)

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デジタル化による社会構造や規範の変化を『文明の転換』と捉えて新たな文明における経済や経営のあり方を考える本連載。今回は『所有権』から『持ち寄り』(シェアリング)へと変化するビジネスモデルに焦点を当てる。ビジネスにおいて目指すべきは、売上の最大化でなく資産収益率の最大化だ。

情報技術が変えたビジネスモデル

前回のコラムでトレーサビリティ(追跡可能性)が低いことが、近代のモノの所有権を金銭で販売するモデルを発達させてきたことを説明した。そしてIoTやクラウドの技術などの近年の情報技術が、トレーサビリティを高めつつあって、所有権(専有権)を販売するモデルを、顧客が必要とするときに必要な機能を提供するアクセス権販売モデルに転換しつつあることを指摘した。

たとえば音楽業界は、かつてLPやCDといった媒体を販売するかたちでビジネスを成立させていた。それが21世紀に入ってネットの影響でいったん落ち込んだが、この数年では、ストリーミングサービスと、それを提供するプラットフォームの利用料をサブスクリプション(つまり定額を毎月払えば使い放題)で使ってもらうというビジネスモデルで収益を再び増加させてきている。音楽ファンは音楽を買っているというよりも、自分の好みに合わせて提供してくれるさまざまなサービスへのアクセスにお金を払っている。そのようなモデルが実現したのは、スマホなどで常時接続されたユーザーがオンラインで「追跡可能」な状態になったからだ。

図1 小さな変化のなかに見える大きなうねり

●ケータイがモノを買う道具から稼ぐ道具に…
  例)メルカリ、バイト探しサイト、ウーバー…
●気軽にモノを借りられるサービス
  全てのモノがつながっているので可能に
●「サブスク」化
  Retention(顧客維持)コストの削減
   →Customer Lifetime Value(顧客生涯価値)
●クラウドファンディング
  地域活性化の有力ツールに

出典:筆者作成(photo by photoAC)

 

自動車業界などでも動きは急だ。自らのビジネスを自動車製造販売業から移動サービス提供会社(mobility as a service:MaaS)と再定義して、大転換を図っている。それを実現する基本思想としてCASE(connected、autonomous、sharing、electric)が掲げられ、自動運転機能を加えた車をシェアリングモデルで提供することを標榜していることは象徴的である。

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