増え続ける災害のために、ビジネスができることとは?
SDGsを理解して取り組むにはデータから現状を知ることが重要だ。本連載ではユニセフにてSDGsに関する統計を扱う水野谷優氏と慶應義塾大学にてSDGsの研究に取り組む高木超氏に、統計から見える現状と、未来世代のために今すべきことを提言いただく。
SDGsで求められる災害への対応
世界中で発生する地震や干ばつ、津波、そして台風といったさまざまな自然災害は、人々の生活に大きな影響をもたらしている。今年だけでも、九州地方での豪雨災害、中国南部での洪水や土砂災害などによる甚大な被害が報告されている。中国では5000万人以上が記録的な洪水の為に被災した。世界の地域別に見ると、過去13年において、世界の自然災害による被災者数の約80%をアジアが占めている。さまざまな災害が毎年人々の暮らしを脅かすが、特に直接的な影響を与えているのは風水害であり、洪水と台風による被害者の合計数は世界の全体の被災者数の約85%を占める(表)。
表 世界の自然災害による被災者数(2007~2019年)
こうした災害によって、住居や家財道具といった生活基盤を失い、水や食糧が不足し、不衛生な環境での生活を余儀なくされることで、弱い立場に置かれがちな子どもは、感染症・貧困・暴力といったリスクに曝されやすい。
2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(以降、SDGs)は、「貧困の撲滅」や「ジェンダー平等の実現」など、幅広い分野をカバーしているが、災害への対応もその一つであり、SDGターゲット11.5*1は「2030年までに、貧困層および脆弱な立場にある人々の保護に重点を置き、水害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす」ことを目標としている。
このSDGsと、同年に採択された「仙台防災枠組み」および「パリ協定」は密接な関係にある。「仙台防災枠組み」はSDGsのターゲット(11.b)に記載され、気候関連災害や自然災害に対するレジリエンスなど「パリ協定」が立ち向かう気候変動はSDG目標13「気候変動に具体的な対策を」として掲げられている。
全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。
-
記事本文残り65%
月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!
初月無料トライアル!
- 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
- バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
- フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待
※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。