AIで進化する自動翻訳、人の役割も変化

国内でも様々な場面で多言語対応が求められる時代となる中、進化する自動翻訳技術への期待が高まっている。自治体の窓口で使える音声翻訳アプリが2020年2月に実装開始されたほか、2025年に同時通訳を可能にするための産官学の取り組みも始まった。

隅田 英一郎(情報通信研究機構(NICT)フェロー アジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)会長)

多言語翻訳技術への期待

グローバル化や訪日外国人旅行者の増加、技能実習生など外国人材の受け入れによって、国内でも幅広い領域で多言語対応が求められている。このような中、人工知能(AI)を使って進化を続ける多言語翻訳技術への期待が高まっている。

総務省が2020年3月末に発表した「グローバルコミュニケーション計画2025」では、大阪・関西万博が開催される2025 年に向けて産学官の連携で技術開発を進め、 自動翻訳技術による同時通訳の社会実装に取り組むとした。

この取り組みで中心的な役割を果たすのが、情報通信分野を専門とする国内唯一の公的研究機関である国立研究開発法人「情報通信研究機構(NICT)」だ。NICTでは、これまでにも自動翻訳技術の精度を実用レベルまで向上させ、対応言語を 12 言語まで拡大させてきた。

NICTが保有するAI研究開発用計算機。良質かつ大量のデータの高速解析を実現

「NICTの自動翻訳技術は既に、端末やアプリを通じて観光や自治体窓口、病院、交通機関など幅広い場面で活用されています。他方で、従来の自動翻訳技術は逐次通訳で、例えばビジネスで1時間の会話をした場合でも、通訳に時間がとられるで、伝えられるのは20~30分程度の内容に限られるという問題があります。そこで2025年までに同時通訳を可能にし、製品化することが目標になっています」

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