2020年5月号
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MPDの本棚

地域産品は稼得源 『地域活性マーケティング』ほか注目の新刊

月刊事業構想 編集部

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――本書執筆の動機は何でしょうか。

地域活性化のための財政支援を巡り議論で一都三県住民の肯定派と否定派の分布を調査した際、前者が22.8%、後者が6.7%という比率でした。しかし地域活性に関わる人たちも含め、地方の財政的自立への声は大きくなるばかりです。「地方の味方、『地方を支える人』が増えるにはどうすればよいか」と考えたのが企画の発端です。

地方側の代表的な取組として「ふるさと納税」がありますが、本質的には、単なる返礼品の受け渡しでなく、「返礼品を通じた都会の消費者とのコミュニケーション」と言えます。消費社会である今日、消費生活を通じた相互交流は、人の行動を変容させるうえで重要な要素だからです。

地方産品を都会の消費者に売ることを通じて、地域への愛着を抱いてもらうには「マーケティングの技術」が必要になります。

地域ブランドづくりやパッケージデザインに限られた原資をつぎ込む以上に、まずは適切なチャネルを選んで産品を売り込んでみることから始めると良いと思います。バイヤーや消費者の実際の評価を受けることから、売れる商品への工夫がスタートします。

――具体的な分析手法は何でしょうか。

本書ではふるさと納税の効果を定量的に分析し、「納税者に『故郷』への思いはあるか」など意識調査も行いました。現在の制度が一層有効に機能するため、また地方の事業の持続的な成長のためには、一度の購買行動ではなく、愛着を持ち、2度・3度と繰り返し買ってもらえる「リテンション(引き留め)」の必要性を強調しています。

購入者の引き留めには、人格を感じさせるお礼状や、感想の取得などの関係性の形成施策が有効です。地方側の現状の取組みには、顧客関係性の形成施策が不十分でした。

地域活性マーケティングは、肥大する市場-消費社会のシステムに必ずしも則しません。崩壊が叫ばれて久しい商店街のようなコミュニティに代わる、社会的な結びつきの促進と形成であると考えています。

――今後の展開をお聞かせください。

この4月に福岡の九州産業大学に着任しました。研究対象である地方に自身も身を置いて、地域活性の研究と実践を進めていきたいと考えています。

 

岩永 洋平(いわなが・ようへい)
九州産業大学商学部教員

 

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