無印良品のMUJI HOTEL 人をつなげて「ローカル」を強く

日本初となる「無印良品」のホテル「MUJI HOTEL GINZA」が、東京・銀座に誕生してからおよそ8カ月。西友のプライベートブランドとして1980年に40品目でデビューした「無印良品」が、ホテル事業にも乗り出した背景にあるのは「ソーシャルグッド」の追求だ。

生明弘好 良品計画執行役員ソーシャルグッド事業部長(兼)スペースグッド担当部長(右)、野村俊介ソーシャルグッド事業部スペースグッド担当課長(左)

都心の一等地にありながら
「ゴージャス」を排す

「MUJI HOTEL GINZA」は、無印良品の世界旗艦店「無印良品 銀座」とともに2019年4月に開業した。2018年1月に中国・深センに「MUJI HOTEL SHENZHEN」が、同年6月には北京に「MUJI HOTEL BEIJING」が開業したのに続く、世界で3つ目のMUJI HOTELだ。東京・銀座の並木通りに面したビルの地下1階から6階一部までは「無印良品 銀座」が入り、6階一部から10階を「MUJI HOTEL GINZA」が占め、ビル全体で無印良品の思想が体感できる。

100年前に東京を走っていた路面電車の敷石が、フロントデスクの背景として息を吹き返した

ホテルのコンセプトは「アンチゴージャス、アンチチープ」。銀座という一等地にありながら、「アンチゴージャス」を謳うのはなぜか。執行役員ソーシャルグッド事業部長(兼)スペースグッド担当部長の生明弘好氏は、「地域に開かれて、ほど良さを大切にするホテルにしたい」という。「ホテルの上階から見下ろすと、銀座は意外にも生活の匂いのする街です。立派なファッションビルやオフィスビルだけでなく、古くから続く焼き鳥屋やおでん屋もあり、雑居ビルには人々の暮らしが息づいています。そうした地域と滞在するお客さまが交流できる場でありたい。そのためには、銀座だからといって絢爛豪華である必要はありません」。

内装の主な素材には木・石・土を使用。フロントの背景には、100年前に東京を走っていた路面電車の敷石を、ホテル内のレストランの壁には、古い船の廃材を使っている。場所を象徴するものを用いることで、銀座という土地の記憶を刻んでいるようだ。この考え方は中国のMUJI HOTELも同様で、深センや北京でも、古民家や再開発で取り壊された建物のレンガが内装に生かされている。

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