熊野古道の世界遺産登録から15年 3県の知事が語る魅力

世界遺産登録15周年を迎える紀伊山地

シンポジウムは、東洋文化研究者のアレックス・カー氏の基調講演、写真集『熊野古道を歩いています。』を制作した写真家・山本まりこ氏による世界遺産地域の魅力案内に続いて、同地域を共有する3県の行政トップが登壇し、各県の取り組みを紹介した。

仁坂 吉伸 和歌山県知事

和歌山県知事の仁坂吉伸氏は、観光行政の責務として、カー氏が提起する看板問題にも通じる「観光振興の取り組みが歴史遺産を毀損しないための適切なマネジメント」を挙げた。また、施策のポイントとして観光客は「自分にないものを求める」ということで体験型の観光素材をPRしていくことが重要であるとし、高野山での疑似宗教体験や、和歌山県が世界遺産地域で実施する「10万人の参詣道環境保全活動」を紹介した。同活動では、来訪者が土を運んで参詣道を自らの手で保全するなどの取り組みを行っている。

加えて、秘境性を損なわない程度のインフラ整備や、トイレやWi-Fi環境の整備、外国人向けの直訳しない高品質な翻訳など「目立たないおもてなし」の重要性を挙げ、「演出された便利さ」として土地の歴史と精神を伝える語り部の価値にも言及した。

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