2019年12月号

Topics

企業・大学から取り組む、サステナビリティを推進する人材育成

月刊事業構想 編集部

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学会「企業と社会フォーラム」JFBSの第9回大会が9月5日・6日の二日間、早稲田大学で開催された。欧米で2000年以降大学を中心に進むサステナビリティ研究・教育プログラムの設置に対応し、サステナビリティを推進する人材育成は、企業内でどう実践され、既存の大学教育はどのような役割を果たすのか、ドイツ・オーストラリアの大学研究者を招き議論が交わされた。

ビジネスとSDGs

冒頭に、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(以下GCNJ)代表理事の有馬利男氏が講演。1999年ダボスでの世界経済フォーラムで故アナン国連事務総長(当時)は、人権・労働・環境・腐敗防止の4分野10の原則を「国連グローバル・コンパクト(UNGC)」として示した。ここに示される通り、CSRやSDGsはビジネスと深い関連をもつが、日本の中小企業における認知度は極めて低い、と有馬氏は指摘する。更なる浸透のためには、中小企業向け支援やSociety5.0を通じた変革が必要になるという。

有馬利男(グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン[GCNJ]代表理事)

他方、エリザベス・フローリッヒ氏が教鞭を執るドイツのケルン・ビジネススクールでは、統合的なサステナビリティ教育プログラムを提供しており、学生の必修講義、および経営学の全分野にサステナビリティ概念が浸透している。CBSは企業人を教育カリキュラムの中に統合する試みを行っている。前提として、効率性のみに囚われず全体的な仕組みを捉えるシステム理論の視点に基づいた世界観へと転換する必要性があるという。

エリザベス・フローリッヒ(ケルン・ビジネススクール[CBS]学長、教授)

企業内・大学内から取り組む

基調講演に続いて話題提供を行ったユニリーバ・ジャパンの北島敬之氏。創業以来、サステナビリティを社会課題解決と事業発展の同時達成に資するものと捉えており、社内の資源消費量節減に取り組んでいる。この下でマネジメント能力を向上させるには「正解を探すよりも解決法を生み出す何かを必要とする」という。ビジネスの統合性こそサステナビリティ活動の鍵となる要素であり、リーダーシップが必要だが、これは「人びとにモチベーションを与え行動を促していく存在」だという。

北島敬之(ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス 代表取締役)

最後に話題提供を行ったのはカーティン大学教授であるミシェル・ジョン氏。歴史上、人権・労働環境・ダイバーシティの面で、社会は企業に対し責任を求めてきた、21世紀には、第四点として環境健康影響、雇用創出、倫理的な商慣行が重視される、とジョン氏は説く。消費者が企業に向ける目線は「社会変革の担い手」へと変わってきており、統計的にも、70%のアメリカ人が、企業は平時の営業活動に直結しない社会課題を改善する義務があると回答した。企業はこうした消費者と関係性を深める機会を設けるべきとし、コミュニケーション全般の活性化を促すことが望ましい、とした。

ミシェル・ジョン(カーティン大学 教授)

質疑では、サステナビリティ浸透にむけたコミュニケーションの位置づけとは何か、および大学(学生の高等教育)とビジネス(実社会)のギャップをどう埋めるか、などの論点が提起され、ダイナミックな議論が交わされた。

 

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