藤原和博氏が語るイノベーション人材 「上手に疑う力」が創造性の源

正解がない時代、新しい事業を生み出すためには何が重要になるのか。「何かをつくり出せる人材」の能力やその育み方について、元リクルートフェロー、東京初の民間人中学校長など、多彩なキャリアで知られる藤原和博氏に話を聞いた。

藤原 和博(教育改革実践家)

革命はいつも一人から始まる

――起業家、事業家などの「何かをつくり出せる人材」に求められる能力やスキルセットについて、どのように見ていますか。

藤原 私は、革命はいつもたった一人から始まると思っています。最近、企業がイノベーション担当部署を設置していますが、組織でイノベーションが起こるとは考えていません。個人が目覚めてやる気にならない限り、イノベーションは絶対に起こらないんです。組織的に取り組みたいのであれば、会社人間や企業人ではなく「企業内個人」を目覚めさせる必要があります。

それを前提にしたうえで、これからの時代、何かをつくり出すために必要なのは「情報編集力」です。これは思考力・判断力・表現力を駆使するもので、端的に表すなら「正解がない課題に対して納得出来る仮説を生み出せる力」です。新事業開発という正解がない課題と向き合うには、自ら仮説を生み出す力が必要なのです。

情報の「処理力」よりも
「編集力」が問われる時代

――「情報編集力」とは、どのような能力なのですか。

藤原 まず、「情報編集力」の対極にある「情報処理力」について説明しましょう(図1参照)。「情報処理力」は知識・技能を指します。日本で教育を受けた人は基本的に情報処理力が高い。それは学校で知識を暗記させて、早く正確に答えを出せるように教育しているからです。それを補強するように、親も先生も「早く、ちゃんと、いい子に」と百万回も唱えるものだから、間違えることを極端に恐れる子が量産されているわけです。

図1 「情報処理力」と「情報編集力」

出典:藤原和博氏・作成資料

 

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