2019年12月号
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「事業をつくる人」を育てる

スマホゲームで米国1位を記録 芸者東京に見る世界展開の秘訣

田中 泰生(芸者東京 CEO)

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米国ランキングNo.1のハイパーカジュアルゲームをつくった芸者東京。プロトタイピングと小さな失敗を繰り返し、「やった人」しか知らない情報を成功につなげた。周囲を変えられるという自己肯定感を持つ人が増えれば、イノベーションに寛容な風土ができてくる。

田中 泰生 芸者東京 CEO

芸者東京は、東京大学の研究者とクリエイターが集結し、2006年に設立されたハイテクエンターテインメント企業だ。ガラケー向けのソーシャルゲームで業績を伸ばすも、その後はヒットに恵まれず、事業が傾き始めたところで「ハイパーカジュアルゲーム」という新しいビジネス分野を発見。同分野で日本を代表する企業となった。連続的に新事業を立ち上げ、そのいくつかを成功に導くにはどうすればよいか。芸者東京社長の田中泰生氏に聞く。

グローバル新事業にたどり着くまで

芸者東京は一貫してテック系のエンタメ分野でビジネスを展開してきた。創業期、最初にブレイクしたのがAR(拡張現実)の製品「電脳フィギュアARis」。Webカメラの画像に電脳フィギュアをオーバーレイして表示する世界初のパッケージだった。続いてガラケーのソーシャルゲーム「おみせやさん」がヒットし、業績を伸ばした。その後、スマホアプリのゲームを開発するも大ヒットには至らず、事業を立て直すべく、ゼロからの新ビジネス立ち上げを模索した。

「様々な新事業の候補を考えました。例えばブロックチェーンやVR、AIを使った新規事業です。片っ端からプロトタイプを作り、その時の手触りから、『世間の評価は高いがビジネスを軌道に乗せるまでに時間がかかりそう』とか、『複数の問題を解決しないと広く使われるようにはならない』、などといったことが掴めてきました」。

模索の結果、2018年にたどりついたビジネスが「収益」と「マネタイズ」の両軸をもちながら、広告ネットワークのプラットフォームを活用できるハイパーカジュアルゲームだった。ハイパーカジュアルゲームとは、スマホアプリのゲームのうち、簡単な操作かつ短時間で楽しめるジャンルのことをいう。多くが無料で、収益の70~90%を広告から稼ぎ出す。広く浅く多くのユーザーを獲得することで成り立つビジネスモデルのため、最初から世界全体がターゲットとなる。

「スマートフォンという成熟したプラットフォーム、成熟しつつあるネット広告のマーケティング技術の割に、世界共通で浸透しているゲームは意外にない。世界を標的にできるゲームが作れれば、従来では考えられないスケール感を追求できる、と新事業としての可能性を感じました」と田中氏はいう。

アプリをダウンロードしたユーザーがゲームを面白いと感じ、多くの時間を使ってもらえれば、広告メディアとしてスケールすることも期待できる。すると、単価の高い広告を掲載でき、ゲーム会社の収益につながるという構造になっている。わかりやすく、面白ければ世界ランキング上位に君臨し、さらにユーザー数を一気に増やせる。

ハイパーカジュアルゲームの勘所を学ぶため、芸者東京では、世界王者のメーカーであるフランスVoodoo社のゲームを参考にし、ゲームを開発してはテストを繰り返した。ユーザー獲得コスト・継承率・収益性を算出し、多くのプロトタイプを作って改善を重ね、高速でテストを繰り返す。

「このような体験から、自分たちしか知り得ない精度の高い知識やノウハウを蓄積しました」と田中氏は振り返る。そうした多くのプロトタイピングの中から生まれたのが、「snowball.io」だ。このゲームは2018年末には、米国AppStoreランキングのトップチャートで1位を記録した。また2019年5月には、「Traffic Run!」が同チャートで1位になっている。

「北米、欧州、南米、アジア、アフリカと広い地域を対象に、ここ半年でダウンロード総数は1億を超えています。言語を超えてパッと分かるようにするにはどうしたらいいのか、優れたユーザーエクスペリエンスを探求していった結果だと思います」(田中氏)。

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