2019年12月号
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「事業をつくる人」を育てる

IDEO Tokyoが実践 創造性を解放する組織づくり

野々村 健一(IDEO シニアディレクター)

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何かを新たに創造する力、クリエイティビティは、21世紀の重要な経営資源だ。様々な組織の変革を支援するデザインファームIDEO Tokyoによると、日本でも変化は始まっている。新規事業を創出し、イノベーションを起こすために、個人や企業は何を重視し、どのように行動すべきか。

東京・表参道のIDEO Tokyoのオフィスでは、多様な背景の社員が働いている

IDEOは、デザインを通じて組織のイノベーションを促すコンサルティング企業だ。発祥は米国で、現在は世界に9つの拠点を持つ。日本における拠点であるIDEO Tokyoの設立に関わり、シニアディレクターを務める野々村健一氏が、日本における組織とイノベーションについて話した。

野々村 健一(IDEOシニアディレクター)

――今の日本における「イノベーション」の現状をどのように見ていますか。また、継続的なイノベーションを生むために、どのような姿勢が望ましいとお考えですか。

野々村 現在は面白いタイミングだと感じています。ゼロから事業を立ち上げ、稼ぐビジネスに育てる一連のサイクルの回転は速まっています。加速の背景には、社会のデジタル化等も一因としてあります。作って育てるという行為は高速で回転させなければなりません。

イノベーター育成を目指し、日本でも様々なイニシアティブが走っています。例えば経済産業省がスポンサーしている「始動Next Innovator」事業では、私も講師としてデザイン思考のアプローチについてお話させていただきました。日本のビジネスパーソンには、「自分はクリエイティブだ」と言うことに対するためらいが強くあります。しかし、もしイノベーターを志すのであれば、これは克服する必要があります。

これまでの数十年間、世界経済は効率性をいかに上げるか、という競争で発展してきました。現在はさらに、クリエイティビティにおける競争力が勝負を分けるようになっています。つくる能力、そしてこれを育てる能力は、世界的にも経営資源の1つとみなされるようになってきました。このような力を企業も蓄えていくことが重要です。

背景には、社会が激しく変化している現状があります。技術の進歩は激しく、将来はますます不透明になっています。IDEO Tokyoでも、5年後、10年後の市場や社会を予測するよう相談を過去受けたことがありました。しかし今の時代、来年何が起きるのかすらも予測が困難になっています。

このような状況下で、最もコントロール可能なものは、自分、自社です。外的環境がいかに変化しても、自分たちが何をしたいのかを明確にすれば、来年の戦略を立てることができます。少し前までは客観的に社会を分析したプランニングが尊ばれてきましたが、ビジネスの現場でも主観へのシフトが起こっていると言えます。

リンカーンからドラッカーまで、色々な偉人の言葉とされる、「未来を予測する最良の方法は、未来を作ること」という文句があります。これを誰が最初に言ったのか、については議論があります。実際のところ、時代の変化が大きくなり、不確実性が上がるタイミングでこのような言葉が出てくるのだと思います。そして今の日本はまさにそのようなタイミングにあります。

20代後半~30代半ばの受講生にこういう話をすると、「そうだよね」という反応で、だいたい皆、感覚を共有していると思います。変化の厳しい環境下で、同じ志を持つ仲間を作りたいと考える人が増えているのも、最近の傾向といえます。

――新規事業を立ち上げることは非常に難しいこととされています。それはなぜなのでしょうか。

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