企業のテレワーク推進対決!日本航空 vs. 日本ユニシス

労働環境、生産性、ワークライフバランスの向上、さらには地域活力アップの効果も期待できるテレワーク。先進的な取り組みを進める日本航空と日本ユニシスの動向を見る。

先進的なテレワークの取り組みが輝く2つの企業

東京五輪開催を控えて、渋滞緩和の観点からも注目されるテレワークだが、その主目的は、言うまでもなく生産性やモチベーションの向上にある。その結果、ワークライフバランスが向上し、地域との結びつきが強くなり、多様な人材の確保にもつながることが期待される。

総務省によると、2017年のテレワーク導入率は13.9%で、導入企業のうち、モバイルワーク導入は5割を超え、在宅勤務導入は3割、サテライトオフィス導入は1割という状況だが、テレワーク導入企業は緩やかな増加傾向にあるという。

テレワーク導入の先駆け企業の一つ、日本ユニシスは、2008年度から在宅勤務制度を実施してきたが、月単位で実施を選択できる制度に見直したあと、2018年度を初年度とする中期経営計画で掲げる働き方改革「Workstyle Foresight」の一環として、時間・場所に制約されない、全社員対象の制度に変えた。2018年には、「テレワーク・デイズ」などを活用して東京五輪開催に備えた計画的な準備などが評価されて、総務省「テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」を受賞している。

今、テレワークの進化形として広がりつつあるのが「ワーケーション」だ。国内外でのバカンス中、特定の時間を、テレビ会議などを含む仕事に充て、これを出勤扱いとする制度で、今年(2019年)4月から有休取得が企業に義務化されたことに伴い、取得を促進する制度としても注目される。

日本航空では、2017年からいち早くワーケーションを導入、2017年度夏期の利用者は11名だったが、2018年度夏期には78名と大幅に増加した。日本航空が、ワークスタイル変革を掲げてテレワークを導入したのは2015年度。当初は在宅勤務のみだったが、2017年から自宅以外の勤務も可能になった。その目標は、全社で総労働時間を1,850時間とすること。2017年には、テレワーク導入における模範的な取り組みを表彰する厚生労働省「輝くテレワーク賞 厚生労働大臣賞 特別奨励賞」を受賞した。

画一的な働き方から、時間と場所にこだわらない、一人ひとりの個性や条件に合わせた働き方へ。今のところ、その変革は大企業を中心に進みつつあるが、大企業の先進的な取り組みをモデルに、やがては日本社会全体へ浸透していくことが望まれる。東京五輪は、その大きな契機となるかもしれない。

両社概要

日本航空

設立 1951年8月
本社 東京都品川区
代表 赤坂 祐二(代表取締役社長執行役員)
社員数 連結 33,038名(2018年3月)
資本金 3,558億4500万円
事業内容とグループ会社 ●航空運送事業:日本トランスオーシャン航空、
 日本エアコミューター 他
●空港旅客サービス:JAL スカイ
●グランドハンドリング:JAL グランドサービス 他
●整備:JAL エンジニアリング 他
●貨物:JAL カーゴサービス 他
●旅客販売:JAL ナビア 他
●その他(旅行の企画販売、航空座席販売等)

出典:同社ホームページ、有価証券報告書

 

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り31%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。