2019年9月号
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東大メソッドで起業を選択肢に 『スタートアップ入門』ほか新刊

月刊事業構想 編集部

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誰もが「起業」を選択肢に

東京大学で2005年から開講している「アントレプレナー道場」は、同大の産学共創推進本部が、東京大学エッジキャピタル、東京大学TLOおよび東京大学共創プラットフォーム開発の協力を得て運営する超人気の課外講座だ。講師に鎌田富久氏(Access 共同創業者、TomyK 代表)をはじめとする著名な起業家も招き、世界最大の先端技術見本市「SXSW」へ東大生を派遣する「Todai to Texas Project」等の関連プログラムとも連携する。

著者の長谷川克也氏は1982年から97年まで松下電器産業(現・パナソニック)で半導体LSIの研究開発に従事。在職中にたびたび渡米を経験しスタートアップと関わる。初めは1990~92年に、スタンフォード大学客員研究員を務めた。97年以後は同社シリコンバレーでのCVC機関にてベンチャー投資活動に従事。2009年5月より東大でアントレプレナー教育を担当する。

なぜ、起業が注目されるのか。20世紀後半の日本企業が達成した高度成長の経済的恩恵が享受できなくなり、1つの企業に勤める「就社」のリスクが大きくなっている。また産業の態様も変化し、大量生産・大量消費から顧客のニーズを狙ったスモールビジネス、社会課題解決型のビジネスが増加している。いわば「誰にいつ起業の機会が訪れるか分からない時代」に、タイミングが訪れたときに、「スタートアップという選択肢を知っておいたほうがいい」(p.57)と著者は説く。

だからこそ「平均的な学生」にこそ本講座を受講して欲しい。その願いは本書の随所に現れる。「学生の皆さんに『ベンチャーやんなはれ!』とけしかけたりはしません」(p.ii)と述べる著者の温かな筆致は、起業に求められる基礎知識を平明に説く書きぶりと相まって説得的だ。

ビジネスに活かせる起業の素養

資金調達から事業計画(ビジネスプラン)、企業形態のバリエーションまで広く体系的に論じた本書は、ビジネスでの実践知の全貌を余さず提示するものだ。その神髄は、講師との対話、臨場感ある講義を伴ってこそ体得されるとはいえ、起業をめぐる各論へ誘う俯瞰的構成は、大学発アントレプレナー教育に大きな意義を持つ。
起業を特殊なアクションと捉えるのでなく「誰しもが選択肢として知っておくべき素養」と捉える本書の視座は、事業構想にも通じる。組織の閉塞感打破、社会課題の解決、専門性を活かした高い経済的成功など、目的は様々であれ、「社会の一翼を担い」日本の未来を考えることだ。


スタートアップ入門

  1. 長谷川 克也(著)
  2. 2019年4月発行
  3. 本体2,500円+税
  4. 東京大学出版会

 

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