2019年2月号
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名古屋発、変革への突破力

バーミキュラ誕生秘話 町工場から「世界最高の調理器」を

土方 邦裕(愛知ドビー 代表取締役社長)

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食材本来の味を引き出す鍋として、大ヒットしている鋳物ホーロー鍋「VERMICULAR(バーミキュラ)」。長年培ってきた高い技術力とともに、デザインやブランディングでも評価される同製品を開発したのは、長らくモノづくりの下請けを担ってきた名古屋市の町工場、愛知ドビーだ。

土方 邦裕(愛知ドビー 代表取締役社長)

老舗町工場を救った兄弟経営者

愛知ドビーは1936年(昭和11年)に創業した老舗の町工場だ。社名にもあるとおり、かつては織り機の1つである「ドビー機」の開発・生産で発展してきた歴史を持つ。しかし、日本の繊維産業の衰退に伴い、同社の事業も縮小して工業部品の下請けとして存続していた。現社長の土方邦裕氏は大学を卒業後、商社に入社したが「私が就職する時点では、とても継げる状態じゃなかった」と振り返る。

その後、家業を再興するために土方社長が2001年に、弟の智晴氏も2006年に愛知ドビーに入社。現場の職人として技術を学びつつ、経営の立て直しを図った。

そして一定の安定を得ることに成功。当時は下請けの工場だったが、2人は独自商品を開発して、新たな事業の柱にするべきと考えた。やがて智晴氏が「鋳物が調理器に向いている」と知り、さらに詳しく調べてみると、海外製の鋳物ホーロー鍋が人気だったが、それよりも密閉性が高く無水調理のできるステンレス+アルミ製調理器のほうが高く評価されていることがわかった。

鋳物は熱伝導と蓄熱性に優れ、加熱調理器の材質に向くが、密閉性という点ではステンレスやアルミが勝る。それならば、ドビー機のメーカーとして鋳造や精密加工技術を持つ愛知ドビーなら、高い密閉性を持つ鋳物ホーロー鍋を作れるのではないかと考えたのである。

「世界最高の品質」にこだわる

もちろん開発は簡単ではなかった。プロジェクトがスタートし、試作と情報収集を繰り返した1年ほどを経て、ひとまずは、既存のフランス製鋳物ホーロー鍋と同水準の製品は作れるようになった。折しも、リーマンショックの余波が押し寄せていた時期。発案者だった智晴氏は、経営への負担を危惧して早期の製品化を提案するが、兄である土方社長は断固反対した。

「 今、すでにあるものを作っても意味がない。『世界最高の品質』にこだわってこそ、日本のモノづくりとしての誇り、職人の誇りになる。最後までやり抜こう」

1/100mmの精度を追求するモノづくりに挑戦し、試行錯誤を繰り返した。1万個以上の試作を経て、バーミキュラは完成する。

「経営者自らが職人としての技術と知識を持ち、また、自らリーダーシップをとれたから実現できたのだと思います」

非常に高い密閉性を持ち、無水調理が可能な鋳物ホーロー鍋。炊く、ロースト、スチームといった調理法を、これ1つでまかなえる

開発は「マーケティングありき」

バーミキュラを使えば料理が美味しくなり、しかも栄養が失われにくい。食や健康に関するニーズは不朽のものだ。

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