2019年1月号

パナソニック、次の100年へ

パナソニック・津賀社長 次の100年の「くらし」をつくる

津賀 一宏(パナソニック 代表取締役社長)

0
​ ​ ​

家電から始まり、時代に合わせて事業領域を広げてきたパナソニック。2018年、創業100周年を迎えたパナソニックは、これからどこへ向かうのか。パナソニックの津賀一宏社長が基調講演を行い、次の100年に向けた構想を語った。

津賀 一宏(パナソニック 代表取締役社長)

「パナソニックは、いったい何者なのか」

津賀一宏社長は6年前の社長就任以来、自問自答する日々を過ごしたという。「家電の会社」だった時代とは異なり、車載電池や車載エレクトロニクスをはじめ、他社の工場や小売の現場などに向けたソリューションを提供するなど、現在、パナソニックの事業は様々な領域に広がっている。そうした中で津賀氏は、パナソニックが一体何のお役に立てている会社なのかが見えづらくなっていると感じていた。

創業100周年。自問自答のトンネルを抜けた先に、ついに答えを見出した。

「家電にしても、自動車にしても、他社様の工場にしても、やっていることはバラバラのように見えて、そこに込められた思いはまったく同じものであったことに気がつきました。

パナソニックは創業以来、その時代に生きる人々にとって、今、求められていることは何なのか、この先に必要とされることは何なのかを徹底的に考え、製品・サービスを開発してきました。『モノづくりをしたかった』というより、『人々のくらしを良くしたい』という思いが先にあり、それを実現させるために、モノづくりが必要だったのです」

パナソニックの存在意義は
「くらしアップデート業」

パナソニックの存在意義は、人々のくらしをより良くしていくこと――。津賀氏は、パナソニックとは「くらしアップデート業」を営む会社であると表現する。

「まず前提として、『くらし』とは、単なる家の中でのくらしを指しているわけではありません。『一人ひとりが過ごしている、あらゆる時間』を指しています。重要なのは『アップグレード』ではないということ。かつては生活者をマスと捉え、一様に、より機能を高めたり、より上級なものを提供するという、いわゆる『アップグレード』を競い合っていました。でも今は違います。その人が心地いいと感じる瞬間と、丁寧に向き合う時代です」

昨今、多様化社会と言われて久しい。しかし津賀氏は「私は、人が多様化したとは捉えていません」という。

「人は、もともと多様なのです。テクノロジーの進化といったサプライヤー側の革新によって、もともと存在していた一人ひとりの多様性が解放される時代だと捉えています。だから、『グレード』という軸ではなく、あくまで一人ひとりの『その時』に合わせて更新していく、『アップデート』なのです」

「パートナーとの共創」が
より重要に

くらしのアップデートを提供するうえで、パナソニックが重要視しているのが「パートナーとの共創」だ。中国では現地の有力企業2社との共創により建築現場において「プレハブハウス」を提供する事業を行っているほか、中東では住宅不足の解決策として「コンテナハウス」プロジェクトが動き出している。

「これからの時代は、自社だけで完結させようという考えでは生き残れません。国内はもちろん、国境をも越えて様々なノウハウやネットワークを持つ企業と手を組み、スピードを格段に速めて、これまでにないくらしのアップデートを実現させることが極めて重要だと考えています」

また、津賀氏は、「とにかく始めてみる」という姿勢も重要になると語る。その事例として、中国を中心に火鍋専門店を363店舗展開している「海底撈」とのスマートレストラン構想を挙げた。

海底撈とのプロジェクトの1号店では、バックヤードのロボット化による業務の効率化だけでなく、食材の台車にRFIDタグを付けトレーサビリティを可能にしたことも含め、食の安全性の向上も実現している。

今後、スープのデータマネジメントによりどの国でも同じ味を提供できるようにしたり、ARの活用により新たな顧客体験を創造するなど、さらに構想を広げていく。

「生活者をマスと捉えていた時代は、細部に至るまで完璧と言えるほどのレベルまで企業側が仕上げて、それを提供していました。これからの時代は、安全面などをクリアできてさえいれば、いわゆる『あえての未完成品』とも言える段階で、世の中に出していくべきと考えています。不良品ではなく、『あえての未完成品』。より正確に言うと、使用いただく方の手に渡ってからも、その人向けに成長する余白を持たせた状態のものです。完成品に仕上げるのは企業でなく、お客様です」

「HomeX」を起点にくらしを変える

パートナーと共創しながら、一人ひとりにフィットしたアップデートを実現する。この考え方に基づいて、「家」という空間をベースにパナソニックが新たに打ち出したのが「HomeX」だ。

津賀氏は、くらしのアップテートの実現に向けて、「パー トナーとの共創」を積極的に進めることを表明した

「HomeX」とは、住む人に寄り添って、くらしに24時間365日、常時接続することで、その人が今、何を求めているのかを理解するための情報基盤。得られた情報を元に、その時の気分に合わせた音楽を流したり、季節や天候に応じた料理のレシピを紹介するなど、その時にぴったりのサービスを提供し、生活者一人ひとりにとっての価値を実現していくことを目指している。

「願わくは、この世の中に生きるすべての人の、すべての時間にフィットさせられるだけのサービスを提供できるようにしたいと考えています。しかし、それを実現するには、パナソニックの力だけでは足りません。求められるサービスが見えたら、そのサービスを提供できるパートナーとの共創を積極的に進めていきます。

人の幸福から離れて、生き残る会社はありません。パナソニックもそうです。私たちは、人の幸福をつくるために存在しています。私たちは、人の幸福をつくるための同志であり、仲間です。共に理想を語り合い、共に壁を乗り越える方法を議論し、たとえ小さくとも、そこに生きる人のくらしをより良くしていくための企てを、一緒に進めていきたいと、切に願っています」

人々がくらす社会をより良くする「くらしアップデート業」を営むパナソニック。次の100年に向けて、新たな一歩を今、着実に踏み出した。

クロスバリューイノベーションフォーラム2018 オフィシャルサイト
https://www.panasonic.com/jp/100th/forum
0
​ ​ ​

バックナンバー

メルマガで記事を受け取る

メルマガ会員限定で、
ピックアップしたオンライン記事を
毎日お届けします。

以下でメルマガの登録ができます。

購読申し込みで全記事が読める

2018年4月号「SDGs×イノベーション」完売!

会員になって購読すれば、バックナンバー全記事が読めます。PC・スマートフォン・タブレットで読める電子ブックもご用意しています。

バックナンバー検索

注目のバックナンバーはこちら

最新情報をチェック。

会員になると 最新「事業構想」が読み放題。さらに

会員の特典をもっとみる