2018年11月号
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パイオニアの突破力

デビュー2年で漫画賞を次々受賞 創作の源は「考えるのをやめない」

板垣 巴留(漫画家)

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2018年、最も注目された漫画家のひとりといえば、この人、板垣巴留と言って過言はない。しなやかかつ美しい線で描かれた動物たちによって繰り広げられる青春群像劇『BEASTARS』は、デビュー作ながら一気に読者を惹きつけ、マンガ大賞や手塚治虫文化賞新生賞など数々の権威ある漫画の賞を総なめ。デビューから2年で人気作家の仲間入りを果たした板垣の今に迫る。

文・油井なおみ

 

自分の市場価値を知りたくて
飛び込んだ就職活動

「映画監督になりたかったんです。美大に入り、映像学科で学びましたが、映画には相当の人とお金が必要なんだと知りました。監督は自分の器では無理だな、と思ったんです。スタッフのひとりとなるのもいいかと思ったのですが、やっぱり、自分の作品を作りたかったんですよね」

板垣巴留がそう思い、初めて原稿用紙にコマ割りをして、本格的に漫画を描いたのは、大学4年のこと。就活真っ只中の頃だった。

就職はせず漫画家への道へ――そんな決意の現れと思いきや、その思いは真逆にあった。

「本気で就職すると決めていました。安定志向が強いこともありますし、何より、子どもの頃から“変わり者”と言われてきたので、自分が“一般市場でも価値のある人間”ということを証明したかったんです。それを立証できるものが“就活”だと思っていました」

そんな時期に漫画を描き始めたのは、自分の漫画への“力”と“熱量”を確かめたい気持ちがあったからだ。

「漫画家に憧れはありましたが、職業にするには厳しいということはわかっていました。だからこそ、自分の作品を完成させ、一度でいいから大勢の人に読んでもらいたい、自分の実力を知りたい、と思ったんです。その上で就職して、30歳くらいになってもまだ漫画家になりたい気持ちが続いていたら、改めて本気でチャレンジしようと思っていたんです」

自分が最も好きで、且つ、自信を持って描ける動物をモチーフに、短期間で一気に読み切り作品を描き上げ、少年漫画誌に持ち込んだ。

「せっかちなので、見直しや修正もせず、とにかく持ち込みました。今見ると本当にひどい出来で(笑)。でも、担当してくれた編集さんがとてもいい方で、“味があるね”とか“唯一無二の世界観だね”などといいところを探して誉めてくれたんです。その上で改善点もしっかり挙げてくれたので、“ちゃんと描き直せばいい作品になるのかも”と思えたんです」

“金の卵”の持ち込みは後を絶たない。その中に埋もれてなるものかと、2週に1度、必ず持ち込み、必死にチャンスを掴もうとしていた。

本気の就活で敗れたことで
抑えていた夢への気持ちが溢れた

並行していた就活はというと、予想以上に難航。漫画の片手間ではなく、本気で取り組んでいたにも関わらず、散々な結果だった。

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