逆境の中でも増益増配 ヒューリックの「10年先を見据える経営」

1957年の創業から半世紀以上にわたり、不動産業を営んできたHULIC(ヒューリック)。リーマンショックや東日本大震災などの逆境の中でも増益増配を維持し、成長を続けてきた。「変革とスピード」をモットーに常に新しい事業を切り拓いてきた強さの秘訣とは...。

西浦 三郎(HULIC株式会社 代表取締役会長)

選択と集中

1957年、日本橋興業として全国のビル管理事業からスタートしたヒューリック。不動産事業を中心に事業を営み、創業50周年の節目を迎えた2007年1月に商号を『HULIC(ヒューリック)』と改めた。HULICとは、HUMAN(ひと)・LIFE(生活)・CREATE(創造)を略して造った造語だという。

"変革とスピード"をキーワードに、絶えず成長を続けてきたヒューリック。2008年には東証一部へ上場、以来9年で時価総額を12倍まで増やし、2018年3月時点で、三井不動産、三菱地所、住友不動産に次ぐ不動産業界第4位の時価総額となっている。

2006年3月に社長に就任し、2016年3月から会長を務める西浦三郎氏は「成長戦略のポイントは選択と集中。やらないことを最初に決めることが重要です」と話す。

同社では、全保有物件のうち約70%以上の物件を東京23区に保有している。人が集まる首都圏に好立地物件を多数保有していることは、大きな強みとなっている。また、今後の労働人口の減少を見据え、投資・開発の対象とするのは大型物件ではなく、中規模のオフィスや商業ビルとしている。一方で、マンション開発や海外不動産への投資は、人口動向や事業リスクを考え、注力しないこととしている。

特に立地にはこだわる。同社の保有する物件の約8割は駅から徒歩5分以内の場所に位置し、一般オフィスや商業店舗など様々なニーズがあり、空室率は0.5%だ。

「賃貸事業はコツコツと地道な事業ですが、売ったり買ったりに比べ安全性が高い。これをコア事業として柱にし、その上で建替え事業や開発事業で収益を伸ばしていく。これがヒューリックの成長戦略です」。

近年ではPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)事業やCRE事業(企業不動産の有効活用)など、様々な手法を活用し、新規の開発事業にも積極的に取り組んでいる。

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