夏の観光に人気の水族館は? 美ら海水族館 vs. 海遊館
かつて水槽を並べるだけの施設だった水族館は、今や展示や演出手法の工夫によって、ドキドキ、ワクワクする空間へと変容、進化を続けている。入館者数全国第1位の沖縄美ちゅら海うみ水族館と、第2位の海遊館の取り組みを見る。
「魅せる展示」への転換で、進化を続ける水族館
ビルを背景にペンギンが空を飛ぶ。衝撃的で心躍る眺めだ。昨年7月、東京・池袋のサンシャインシティ水族館の屋上エリアにオープンした展示スペースでは、アシカやペンギンが泳ぐ様をビル群に重ねて眺めることができる。
かつては水槽を順番に眺めていくだけの施設だった水族館が、水中の生き物の営みを忠実に再現するダイナミックな展示方法とともに次々とよみがえり、観光の有力なデスティネーションとなって久しい。その端緒は、動物の習性を活かす展示によって、動物個々の意外な仕草や表情を見せることに成功した北海道・旭川動物園の「行動展示」にある。同動物園の水族館は、狭いところを泳ぐのが好きなゴマフアザラシの習性を利用してフロアに大きなチューブ水槽を設置、目の前に突如アザラシが出現する驚きを演出した。ピーク時の半分にまで落ち込んでいた入場者は、1997年の行動展示開始以降V字回復を果たし、その後全国の動物園、水族館に大きな影響を与えた。
一方、廃館寸前の全国の水族館をユニークな展示発想によって救ってきた水族館プロデューサー、中村元氏の力も大きい。「ペンギンが空を飛ぶ」サンシャイン水族館の演出も中村氏のアイデアだ。2012年には、凍りつく川の中を再現する水槽という世界初の試みによって北海道北見市の小さな水族館をよみがえらせ、集客に結びつけている。極寒の自然環境を、その土地ならではの魅力としてそのまま活用する発想だ。
沖縄美ら海水族館も、これ目当てで沖縄を訪れる人が増えたほど魅力あふれる場所だ。ジンベエザメが悠々と泳ぐ巨大水槽をはじめとするその展示テーマは、沖縄や周辺の海の中を再現することにある。美ら海水族館に次いで2017年の入館者数が2位となった大坂・海遊館の展示テーマは環太平洋。同じくジンベエザメの様子が楽しめる。巨大水族館も、山合の小さな水族館も、その土地でこそ味わえる魅力を抽出した明確なテーマさえあれば、人を集めることができ、かけがえのない施設となる。その意味で、全国の水族館にはまだまだ進化の可能性がある。
沖縄美ら海水族館
一般財団法人 沖縄美ら島財団
所在地 | 沖縄県国頭郡本部町 |
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開業 | 2002年 |
運営 | 一般財団法人 沖縄美ら島財団 |
代表 | 花城 良廣(理事長) |
入館料 | 大人1,850円、高校生1,230円、小・中学生610円、 6歳未満無料(16時以降特別料金あり) |
開館時間 | 8:30 ~ 18:30(3~ 9月20:00) |
面積 | 建築面積:約10,000m2、延床面積:約19,000m2 |
関連施設・ 事業 |
●国営沖縄記念公園 海洋博覧会地区(海洋博公園) ●国営沖縄記念公園 首里城地区 ●県営首里城公園 ●沖縄県立博物館・美術館 ●なごアグリパーク(農産物6次産業化支援施設) ●美ら島自然学校 ●沖縄県立名護青少年の家 ●株式会社グリーンウインド(緑化事業など) 他 |
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