個性で復活目指すビール市場 酒税法改正で高価格帯に有利に

バブル崩壊後、25年にわたって減少を続けるビール・ビール系飲料の市場。市場活性化を目指した規制緩和で、様々な個性を持つビールを販売できるようになった。味も飲む場所も好みで決める、個別化した消費に合わせた変化が始まっている。

2018年4月、酒税法が改正・施行され、法律上「ビール」とされる範囲が広がった。大きな変更は(1)「ビール」と表示するために必要な麦芽比率の50%への引き下げ、(2)ビールに使ってもよい副原料の大幅な拡大(下表参照)、の2点だ。

様々な副原料で個性を出す

2018年3月まで、国内で「ビール」として販売するためには、原料の麦芽比率が67%であること、使用して良い副原料は、ホップ、米、トウモロコシ、コウリャン、ジャガイモ、でんぷん、糖類またはカラメルのみ、という条件があった。この条件を満たさないものは「発泡酒」として売られていた。

これは、粗製乱造された「偽ビール」から消費者を守るために設けられた規制といえる。一方で、ビールの出荷数量は、1994年から減少が続いている。ビールの市場を奪った発泡酒や新ジャンルビール系飲料を加えた「ビール系飲料」の合計で見ても、出荷数量の減少は止まっていない。高齢化で酒をたしなむ人の数自体が減っていることや、チューハイやカクテル、ワインなど他のアルコール飲料の選択肢が増えていることも背景にある。

今回の酒税法改正の目的は、国内のビール市場、ひいてはアルコール市場の活性化と言える。減少が続く市場の中でも、プレミアムビールの市場シェアは伸びている。ビールにプレミアム感を追加する方法の1つが、素材として様々な材料を用いること。醸造技術が発達した現在、ビールの素材として様々な材料を用いるのは、材料費の節約というよりも、他との違いを出す目的の方が主になっている。実際に、大量生産・大量消費型のビールに代わって注目を集めているクラフトビールの市場では、各地の小規模地ビールメーカーが、様々な特産品を副原料としてビール系飲料を製造している。

4月の法改正を受け、ユニークな副原料を使った製品がビールメーカーから発表されている。ヤッホーブルーイングは4月1日に、かつお節を副原料として使用した「SORRY UMAMI IPA」の販売を開始。米国への輸出用に作られていたものを、国内でも発売した。

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