外国人労働者と共生する地域へ/『新 移民社会』ほか注目の新刊

日本社会の閉塞を打破
移民の現状と方策

人口減少社会へ向かう日本では、将来を支える労働力として移民の受け入れが必要不可欠とされる。今や日本で働く外国人は100万人を超え、労働の現場で彼らを見かけることはごく日常的になった。今後も単純労働を実質的に担う技能実習生・留学生等の受け入れ拡大が必要とされている。移民は同時に地域の産業を活性化できる将来の担い手でもある。

西日本新聞社はこの今日的イシューに真正面から向き合い紙面で連載企画をもち、外国人労働ビジネスの暗部も浮き彫りにした。本書は、国内外の現場から、建前と本音が交錯する制度のひずみを浮き彫りにした本企画を基に書籍化したものである。

真実を見据える報道に
各界から高評価

本書は刊行まもなく各方面で高評を得た。「草の根民主主義部門 大賞」を受賞した早稲田ジャーナリズム大賞では、「...私たちの側には、彼らを人間として見、人間としてつきあう準備がまったくできていない。そして、この多様性を拒絶し、周縁に押しやって、見て見ぬふりをする姿勢自体が、この国の政治や文化が活力を取り戻す機会を失わせているのではないか、という指摘は鋭い」(選考委員・吉岡忍氏の授賞理由から一部抜粋)、また優秀賞を受賞した新聞労連ジャーナリズム大賞では「政府が表向き移民政策を取らないなか、来日した留学生が低賃金で単純労働を担っている実態を報じた。アジア各国も取材し、留学ビジネスの暗部もあぶり出した」(同選考理由から一部抜粋)。いずれの授賞理由も、現実を直視し報じるジャーナリズムの本質に根ざしたものであり、昨今軽視されがちな得難い視座である。

では日本が、将来において目指すべき共生社会のビジョンとは何か。外国人や「内なる他者」にまつわる固有の事情や価値観は根強いが、現代における多様性社会の価値観を共有し、お互いが「自分ごと」として受けとめながらその浸透に向け対話を深めることではないか。各章の間に挿まれたコラムからは現場の生の声が、また巻末に収録された「フクオカ国際会議」の行間からはその真摯な姿勢が伝わってくる。

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