人生を豊かにするヒントは、自分の身体が知っている

一度はあきらめたダンサーの夢。けれど今、西園美彌は再び舞台に立っている。ダンスを通して自分の心と体を見つめなおし、見つけた"自分がすべきこと"。表現に必要なものをまとい、必要でないものをそぎ落として見つけたその答えは、自身の表現に活かすだけでなく、世の人々に伝えることも自身の使命だと彼女は語る。


文・小島 沙穂 Playce

 

西園 美彌(舞踏家、ダンサー) 写真撮影:ヒサノモトヒロ

かつて子どもだった西園美彌は、美しいバレリーナを夢見て毎日練習を重ねていた。しかし、年齢が上がるにつれて彼女は厳しい現実を知ることになる。トップのバレリーナになるには、体格や体の柔らかさなどの条件が大きく、健やかに体が成長した彼女には、超えられない壁ができてしまっていた。努力をすればプロのバレリーナになれるかもしれない。そう思って踊り続けてきたが、大学に進むころにはその思いは打ち砕かれ、ダンサーの道を選択肢から消していた。

けれど西園はダンスが好きだった。大学ではダンス部に入ったり、大学院ではVICON(三次元動作分析システム)を使って、バレエの動きを研究対象とし、「美しいダンス」とは何かを解明しようとした。ダンスを科学的に分析するのは楽しく、このような形でダンスに関わることもできるのだと知った。

卒業後はバレエ教室の講師を務めた。教える側に回ってみて、改めて自分に問う。このままバレエの先生として一生を終えていいのか、私にはまだ可能性があるのではないか――。

そう感じていた矢先、西園は知り合いの誘いでダンサーとして舞台に立つ機会を得る。ほかのダンサーとともに作品を作っていく楽しさや、まだ自分の踊りが向上できる手ごたえを感じ、改めてダンサーとして舞台に立ちたいという意志が生まれた。

写真撮影:杉村友弘

海外のゆるやかな気風が
表現力を豊かにする

2015年、西園はドイツへダンス留学に旅立つ。海外へ挑戦し、活躍の幅を広げようと考えたのだ。同時に、自身のダンサーとしての活動を改めて構想する時期でもあった。しかし彼女はドイツについて約3ヵ月で足を骨折。再び踊れるようになるまで約3ヵ月の期間を要し、幸先がいいとは言えない留学であった。

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