2017年5月号

特別インタビュー

タテ型動画のビジネスモデル 広告とeコマースで世界から集客を

森川 亮(C Channel 代表取締役社長)

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テレビ業界からキャリアをスタートさせ、日本発ソーシャルメディア・LINEの世界的進出を成し遂げつつ、2年前からスマホ動画という更なるフロンティアへ挑戦している。新たな市場の波に何を感じ、どのような新事業を構想しているのか。その展望を聞いた。

左から武藤崇雄氏(ビジネスマネージャ)、山浦総一郎氏(マーケティング担当)、森川亮氏

――新サービスを提供しユーザーの行動を変革する姿勢が印象的です。

森川 常に波を待ちながら動きますが、現在は日本よりも外国に大きな波が来ていると感じます。

――スマートフォン動画業界の選択をどう自己評価されますか。

森川 特に若い女性向けショートチャンネル時代の到来は予期しており、時宜を得たと感じています。スタジオ撮影では、DIY・化粧品・料理などの分野でアイディアの考案に時間をかけます。また、SNSログでシェア・コメントの頻度を解析し制作しています。

――世界的に見てどのような投稿に人気が集まっていますか。

森川 「生活の知恵(DIY)」のシェアが多いです。ユーザーが繰り返し見て購買行動に移るので、再生数の伸びも大きいです。逆に、ファッションや料理は地域性があるので、当たり外れの差が大きいですね。

――地域別傾向の対応はどうですか。

森川 インドネシアでは会社を買収して直轄していますが、その他の国では現地企業とのパートナーシップを基本にしています。シェア数や再生回数の多いコンテンツはローカライズして拡充しています。

――投稿者の構成比と経歴は。

森川 自社:クリッパー(契約タレント):一般=2:6:2 です。クリッパーにも動画編集アプリを提供し、手軽に投稿できるよう手配しています。世代は20代前半~半ば、制作スタッフへのキャリアパスもあります。日本は若年女性人口が相対的に少ないので、母数を増やすため、外国市場にも展開しています。映像制作の経験者が多いですが、投稿テーマへの関心から入社する未経験者もいます。

ヨコからタテへの革新

――ヨコ画面からタテ画面への変化は劇的ですね。尺が短く、隙間時間に見られるモビリティが好評です。

山浦 カジュアルで明るく爽やかに、がコンセプトです。ただストーリー性を盛り込むため30秒以上60秒未満を基調としています。

森川 市場にタテ型を忌避する傾向は依然として根強いです。ただし集客データを基に提案すると、導入に前向きな声が多く聞かれます。

――人材確保のため、職人の採用には苦労されたのですか。

森川 むしろ職人を使わないことでしょうか(笑)。技術の発達で、最近のデバイスは初心者でも扱いやすくできています。自分の関心テーマを重視して取り組ませます。

――具体的に紹介いただけますか。

山浦 例えば「イケメンボーカルコンテスト」では、人気ランキングが端末に現れ、歌唱動画に、「いいね!」をクリックしたり、期間限定でギフトを贈ったりできます。また「日替り男子」では、無料のイントロでは顔が見えませんが、ネットワーク内の活動で貯まる会員ポイントの利用で顔を含む続きの動画が見られます。

森川 これらのスピンオフとして、4月に東京国際フォーラムでSuper C CHANNELというリアル体験イベントを開催します。

――衣料も注目度が高そうです。

山浦 タテ型動画は人のシルエットに合い、色映えが分かりやすいです。アパレル・化粧品の通販サイトには常時ポップアップを貼り、気になった時点で詳細を見て決済できます。サイト内独自の割引による単価の減収は広告拡散で補います。各メーカーと共同したOEM(自社ブランド)商品の開発にも力を入れています。

武藤 例えばローソン様からは創業当初から季節的な商品広告を受託しています。二次利用が可能なので、店舗内サイネージでの利用から、webや利用者によるSNSでのシェアまで、広い波及が見込めます。

――インフルエンサー・マーケティングは収益源として有効ですね。

森川 宣伝・販促の展開媒体も、ブログからTwitter、動画へとメディアが移り変わっています。個人が被写体として露出し始め、影響力あるタレントがブランドになり、適切なキャスティングが重要になりました。

――その他の展開はいかがですか。

山浦 F1層(20-34歳の女性利用者)にはプレミアムコンテンツ以外に一般のコンテンツも充実させ、旅行・家電にも販促を展開しています。

――利用者の地域分布は。

武藤 facebookでは首都圏以外の在住者が多いですね。アパレルの場合、お洒落な方、イメージの具体的な方はリアル店舗で購入されるようです。

――将来性はいかがですか。

森川 スマホ化は加速するでしょう。各キャリアもパケット通信のギガビット大容量サービスを順次提供し始め、動画でのコミュニケーションや購買行動が一般的になります。

――ファン層の成長と共に、新しい世代の取り込みも重要ですね。

山浦 顧客の消費行動履歴に応じて、端末のインターフェースを自動でカスタマイズしています。利用者が見たいものを常に入れ替え、クオリティの維持に努めています。

一点集中から事業拡張へ

――広告とeコマースを二大収入源に、上場の目標はいかがですか。

森川 4月以降、国内のHowTo動画は黒字化を目指します。他方、対外投資は抑えます。中国ではオフライン店舗で在地企業に勝つのは難しいので、微博(Weibo、中国版Twitter)を使ってeコマースを展開します。

――外国人を日本に誘客するマーケティングは行っていますか。

森川 現地のクリッパーが多数在籍しており、彼らが旅行客となって日本を紹介する動画を配信しています。日本のクリッパーによる外国旅行の宣伝と双方向で実施しています。

山浦 非常に新しい市場分野なので、多くの提案は直営業です。ただ日系企業が営業しやすく、日本支社やレップに営業する場合もあります。韓国企業を除いて目ぼしい競合他社はなく、参入のチャンスと見ております。

――動画配信・イベント以外での事業拡張はいかがですか。

武藤 人材紹介業への拡張を見込み、例えばとあるコンビニチェーン様にはクルーの現地採用を提案し、東アジア・東南アジアに採用研修センターを設置しています。また留学支援の一環で「日本で学ぶ体験をシェアする」動画を配信しています。

――体験を織り込んで消費行動につなげる狙いですね。タレントを通じたブランディングはいかがですか。

山浦 その点は今後開拓したいと思っています。人気の上位にランクインすると、CMへの出演や、グループへ参加する機会を与えます。サブグループ内でのセグメント化や専門家育成は更なる課題ですね。

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