クリエイティブの要素をプラス 青山をワクワクする創造都市に

青山学院大学に勤める傍ら、渋谷・青山一帯のまちづくりにも携わる井口典夫教授。クリエイティブな要素を取り入れながら変化し続けるまちで、目標とする「創造都市」とは何か。

旧渋谷川遊歩道路であるキャットストリートは、人が交流できる小公園になった

青山学院大学の井口典夫教授は青山に生まれ育ち、国土交通省での全国勤務を経て、30代で青山学院大学に戻る。以後、渋谷・青山一帯のまちづくりを行政・市民・企業や文化人らを巻き込みながらリードしてきたほか、青山学院大学においても地域との連携に心を配ってきた。研究においては『青山文化研究』(宣伝会議)などの執筆や、リチャード・フロリダ著『新クリエイティブ資本論』(ダイヤモンド社)の翻訳など、時代を先取りした業績で注目される。

井口 典夫(青山学院大学総合文化政策学部 教授)

「ふるさと」への貢献

「キャットストリートと沿道の活性化から着手しました。渋谷川に蓋をして暗渠(あんきょ)とする際、蓋の上を歩道としたのがキャットストリートの起源です。行政側ではいずれ車道にして、表参道との接続部も交差点とする計画を持っていました。それを人のための道にして、表参道との交差点は取り止め、小公園にしたのです。文化人仲間の浜野安宏氏には沿道に先端的な店舗を誘致していただきました。以来、キャットストリートからは様々な情報発信がなされ、CM撮影なども毎日のように行われています」

「次に青山通りの景観整備に取り組みました。国土交通大臣ら幹部と相談して事業スキームを練り、渋谷・青山間の沿道2.3キロメートル以内に関わる方々を横に繋ぐ組織、NPO渋谷・青山景観整備機構(SALF)を設立し、事業全体をリードしてきました。青山通りを都内初の景観重要道路に指定してもらった上で、アスファルト舗装を御影石に変え、街路灯・横断防止柵のデザインを自ら考案し、街路樹はケヤキに統一するといった全体計画を立案して、国の工事を促しました。その他、外苑前交差点の歩道上にあった駐輪場を撤去し、多目的広場に変えました。少子高齢化社会に合わせて歩道橋を撤去し、横断歩道に戻したところもあります」

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