伝統産業の海外販路開拓 「外側の目」と「グローバルニッチ」がカギ

京都の和傘店「日吉屋」の五代目当主である西堀耕太郎氏は、廃業寸前にまで衰退していた社業を職人兼経営者として立て直し、世界市場へと飛躍させた業績の持ち主だ。ユニークな技術や歴史を伝承するために、現代の生活にフィットさせる革新が必要だと語る。

伝統は革新の連続

老舗京和傘工房である日吉屋。和傘とその技術を応用した商品を世界へ展開する5代目当主である西堀氏の業績は、伝統産業分野での顕著な成功モデルだ。

元々は公務員であった西堀氏が、和傘の美しさに打たれて日吉屋を継いだ当時は、日常生活としては完全に時代遅れとなっていた和傘が主力商品だったため、年商約150万円に低迷。しかし、資金も人材もコネクションも無い状況から、外側の人間であることを強みに、その良さを再発見し、デザインを活用した独特のブランディング手法を用いることで、傘の骨の機構を使った和風照明「古都里(KOTORI)」を始めとする高付加価値を有する新商品開発に成功、売上を40倍以上に拡大させた。

職人の手から手へ受け継がれてきた技術は素晴らしいものではあるが、「『伝統産業』という呼び名は『日常では用いられないものを閉鎖的な職人社会で作っている』という負のイメージも伴っている。受け継いできたユニークな技術と歴史こそ最高の財産であるが、それをさらに伝承していくためには革新を続ける必要がある」と西堀氏は指摘する。

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