船に乗る仲間は運命共同体 4年間積み上げてきた勝利への設計図

会社経営はときおり船に例えられる。乗組員=社員が世間の動向を読み、資材=資金を消費しながら船=会社を動かし、航海=事業を進めていく。セーリングは風と波の動きを読み、たったふたりで船を動かし前へと進む競技。運命共同体となったふたりは、船の上で何を想い、航路を進んでいくのだろうか。
文・小島 沙穂 Playce

 

2012年ロンドンオリンピック、セーリング女子470級に出場し、14位で幕を締めたその日から、吉田愛のリオへの挑戦は始まった。2016年8月までの4年間、メダルを獲るための練習にかけていく。

北京、ロンドンと出場した吉田にとって、リオは3回目の挑戦。思うように結果を残せなかった過去の2回の経験から、ひとつずつ反省点を洗い出していった。所属をベネッセセーリングチームに替え、どんな練習が必要か、どんな選手とペアを組めばよいのか、リオまでの道筋をはじめにすべて設計していった。

例えば、ペアを組む相手には身長の高さと運動能力を求めた。帆を操るクルーのポジションは、船のバランスを取るために身長が大いに効いてくる。そこで条件にあてはまったのが、当時大学卒業間際の吉岡美帆だった。

ひとつの目標を見つめ続けた4年間

吉岡 「吉田選手に初めて会ったのは、女子選手のみが集まるセーリングの試乗会でした。当時学生だった私にとって、吉田選手は雲の上の存在。大学を卒業したら、セーリングはやめようと思っていたのですが、憧れの選手に誘っていただき、世界の海で船を走らせることを決めました」

吉岡の大学卒業後、彼女らのチームづくりが本格的に始まる。「リオでメダルを獲得する」という大目標に向かい、吉田が4年間のプロットを綿密に練り上げ、それにそってひとつずつ課題をクリアしていった。吉田の背中を吉岡が追いかけるように、計画を進めていく。

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