V字回復した草津温泉 湯畑再開発を主導した町長の「経営力」
バブル時代から1割減った観光客が戻り、まちが活況を呈している草津温泉。名物の湯畑周辺の再開発や赤字化した第3セクターの黒字改革などを推進し、草津のこのV字回復をけん引したのが、2010年に町長に就任した黒岩信忠氏だ。

旅行会社の投票で決まる「にっぽんの温泉100選」(観光経済新聞社)で13年連続1位を獲得するなど、さまざまな温泉地の人気ランキングで常にトップを争う群馬県の草津温泉。
日本一の自然湧出量を誇る日本三名泉の1つとして知られるが、観光客数はバブル期の300万人を頂点に下降線をたどり、一時期は265万人前後にまで落ち込んだ。
この低迷期に町長に就任し、「300万人の観光客を呼び戻す」と、財政改革並びにまちづくりを進め、見事目標を達成したのが、草津町長の黒岩信忠氏だ。黒岩氏は草津町の議員を7期務めたベテラン議員だが、草津町内や東京で事業を手掛ける実業家でもある。
2010年に初当選した黒岩氏は、行政に「投資をしたら回収する」「収支のバランスシートを改善する」「損益分岐点を重視する」といったビジネスに必須の感覚をもちこんで、行政主導の改革を実行してきた。

黒岩 信忠(草津町長)
湯畑周辺の再開発計画
黒岩氏が町長に就任して早々に尋ねたのが、都内で都市デザインや開発のプロデュースを手掛ける北山総合研究所の北山孝雄氏だ。
「以前に草津で講演があり、それがとても素晴らしかったので、町づくりのサポートをお願いしに行きました。草津を再生するにあたって私が構想したのは、歴史をなぞらえたまちづくりです。100年前の草津を訴求して、100年先にも通じるまちづくりをするということで、北山先生と議論を重ねました」
北山氏との話し合いのなかで、3つの事業を実施する計画が立てられた。日帰り温泉「御座之湯」とイベントスペース「湯治広場」の新設、観光の目玉である湯もみショー施設「熱乃湯」のリニューアルだ。
黒岩氏は議会に諮るだけでなく、草津町民全体、湯畑周辺の住民、地域経済会への説明会を開催して、合意形成を図った。しかし、スムーズには進まなかった。
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