2016年8月号
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パイオニアの突破力

数十秒の集中力の高まりが勝敗を分ける 惑わされぬ心を鍛えるために

石原 奈央子(クレー射撃 スキート)

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射撃競技はメンタルの強さが結果を左右するといわれる競技である。心を乱されず、引き金を引き、小さな的を撃ち砕くその強さはいかにしてつくられるのだろうか。リオデジャネイロオリンピックで日本が初出場となる競技、女子クレー射撃 スキートの石原奈央子選手に話をうかがった。
文・小島 沙穂 Playce

 

石原奈央子 クレー射撃 スキート ©ISSF/Voice2Media

2016年8月に開催されるリオデジャネイロオリンピックにおいて、石原奈央子は日本で初めて「女子クレー射撃 スキート」の種目に出場する。彼女は同年2月、インドで開催されたアジア予選で優勝し、クォータ・プレース(世界選手権やワールドカップなどの成績優秀者に国別で割り当てられる。オリンピック出場には必須となる)を獲得。オリンピックに出場する権利を得た。日本の射撃界の発展に期待されている選手のひとりと言えるだろう。

彼女の祖父と父も、かつてクレー射撃の選手であった。父・敬士氏は、1968年のメキシコオリンピック、1980年のモスクワオリンピックで代表選手に選ばれるも、クレー射撃協会の不祥事や日本の参加ボイコットに巻き込まれて出場できなかった。

そんな経験を持つ父に、彼女は育てられた。「競技と言うものは競うものであって、一番を獲らなければ意味がない。一番を取ってこそ、競技者として成功したと言えるのだ」。彼女が父に何度も教えられ続けた言葉だ。公式戦でよい結果を残せなかった時も、“一番”を獲れた時も、どんな時でもその言葉を深く噛みしめる。今夏、父が立てなかった舞台に彼女は立つ。“一番”だけをただ見据え、引き金を引く。

百発百中が求められるプレッシャーの中での挑戦

クレー射撃の中でも、スキート種目はより集中力が求められる競技である。直径約36mの半円形に8つの射台が設置され、選手はそれぞれの台を順番に巡りながら放出される的を撃っていく。クレーと呼ばれる的が左右から射出される、実猟(特に鳥猟)に近い形の競技だ。クレーを割った数で勝敗を競うが、オリンピックなどの強者の集まる国際大会では、すべてのクレーを割り満点を獲得する選手も珍しくない。クレー1枚に対し、撃てる弾は1発のみ。つまり、優勝を狙うなら、失敗が許されず、常に百発百中を求められる競技なのである。

「引き金を引き、クレーが割れるその数秒にも満たない時間で結果が決まる。私はクレー射撃のハッキリ白黒がつく気持ち良さに、惹かれています。射撃は完全なる個人競技で、他の選手と競うというよりも、自分自身をどこまで高められるかが勝負です」

クレー射撃の魅力について、石原はそう語る。射撃は、試合の結果は80%が選手自身の精神力、20%が技術で決まると言われているほどメンタルが影響する競技だ。気象条件や観客の反応など、周囲の状態に左右されず、いつも通りの正確な射撃ができること。それが優れた選手の条件だ。

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