2016年5月号
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女性活躍が新ビジネスを生む

多様なキャリアや家庭責任への配慮を 女性起業家支援のこれから

鹿住 倫世(専修大学商学部教授)

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女性起業は増えているが、そのキャリアや起業目的は多種多様である。このため、既存の起業支援では、女性起業家のニーズに応えきれないことも多い。ある女性起業家の事例を見ながら、今後望まれる支援のあり方を考える。

盛り上がる女性起業

女性が経済・産業界において活躍する方策の一つに、起業がある。しかし日本の新規開業率そのものが欧米に比べて約半分の割合にとどまっており、その中でさらに起業家や経営者に占める女性の割合は低い。

例えば、日本政策金融公庫総合研究所が毎年実施している「新規開業実態調査」によると、1991年調査からの回答者(新規開業者)の性別を時系列で見てみると、女性の比率は20年余りの間に3ポイントほど増加しているものの、近年は15〜16%で大きな変化はない。また、帝国データバンクの「全国女性社長分析」によれば、女性が経営者である企業の割合は徐々に増加しているものの、7.4%(2014年)にとどまっている。

図1 女性は個人向けサービスで起業することが多い
(性別にみた起業業種)

出典:日本政策金融公庫総合研究所「起業と起業意識に関する実態調査」(2013年11月)

 

女性の起業は増えていないのだろうか。統計的には把握されていないものの、筆者の周りには元気な女性起業家が増えているように思われる。

例えば、コッコトが主催する「笑顔で働きたいママのフェスタ」(通称:ママフェス)は、毎年、全国10~12か所で開催され、自宅などで事業を営む女性が数十件ブースを構えて事業紹介を行っている。そのような先輩女性起業家の話を聞きたい、交流したい女性たちが、各会場に毎回数百人から二千人、三千人と集まり、会場は熱気に包まれている。また、Facebookのクローズドサイト「やりたいことを仕事にしたい・している女子の会」(YSJ)には、約1万5000人の女性が登録し、毎日新規登録者が増加している。

ママフェスやYSJに参加している女性は、従来のような店舗での物品の販売やサービスの提供、製品の製造とは異なる事業を行っている。例えば、自宅でのエステティックサロンやマッサージ、カウンセリングなど、料理教室やフラワーアレンジメント、アクセサリー制作、アロマキャンドル制作などのお教室、手作り雑貨や菓子、パン、アクセサリーなどの販売(インターネット通販含む)など、多種多様な事業を経営している。一般的にも、女性起業家が選択する事業分野は個人向けサービス業が多い(図1)。

いずれも、女性ならではの視点、生活に密着した視点で作られた製品・サービスであり、経営者の趣味や得意分野が生かされている事業内容である。自宅を事業場としている方も多く、そのような「おうちサロン」を地域ごとに紹介するマップを制作している日本おうちサロンマップ協会もある。

エステサロンや料理教室、アクセサリー制作など、自宅で一人で小さく始めることが多い女性起業。起業家のキャリア、経験、仕事と家庭の両立環境なども多様だ(写真はイメージ)

また、創業時に活用したネットワークをみると、女性は職場や社外の仕事関係のネットワークの活用において男性より少なくなっており、逆に家族・親戚や子供を通じたネットワーク、地域ネットワーク、趣味のネットワークを男性より活用していることがわかる(図2)。ここにも、ビジネス系のネットワークにアクセスすることが困難であるという女性起業家の特徴が見える。

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