トイレの中に休憩スペース? 制度に依存しない女性活躍の場づくり
女性活躍は、制度をつくれば上手くいくものではない。ITベンチャーのウィルゲートは、女性のニーズに応える制度をボトムアップ型の取り組みで次々と生み出し、働く環境の向上に成果を挙げている。そのノウハウを担当者に聞いた。
女性が働きやすい職場環境を作ろうと、大企業を中心に育休、産休以外にもさまざまな制度の新設、整備が進められている。しかし、どれだけ制度が充実していても、それが実際に女性にとって有意義なものか、女性が利用しやすいものかは別問題だ。
そこで「名ばかりの制度はやめよう。ほかの会社にあるから、ではなく、本当に欲しい制度を作ろう」という想いから、女性社員による提案を積極的に採用するボトムアップ型の取り組みをしているのが、今年10年目を迎えるITベンチャー、ウィルゲートだ。
コンテンツマーケティング支援サービスや、クラウドソーシングサービスなどの事業を展開する同社の転機は、2008年。創業時から手掛けていた事業が行き詰まり、経営危機に陥って社員の3分の2が会社を去ったのを機に、経営陣は働きがいや充実感を重視した経営にかじを切った。
人事、広報、社内デザインを担当するコーポレートデザインユニットのマネージャー、及川尚子氏は、経営陣とともに社内制度をイチから作ってきたひとりだ。
「IT業界は様々なサービスが生まれては消えていく業界なので、新たなサービスを生み出す『人』こそが財産です。いろいろな人の能力や働き方を受け入れ、多様性を活かすことが成長につながると考えました」
女性チームが経営陣に制度提案
多様性の確保は、そのまま女性の働きやすさを整えることにつながった。IT業界、特にベンチャーは一般的に仕事が忙しいうえに不規則になりがちで、女性にとっては働き続けるのが難しい業界だ。実際、及川氏が入社した2010年当時、社員30名弱で女性社員は3、4人しかいなかった。それがいまや、社員109名のうち女性が35名、約3割を占める。
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