イーロン・マスクのハイパーループ構想が実用段階へ
イーロン・マスク氏が2013年に公表した次世代輸送システム「ハイパーループ」。チューブ内を空中浮上して走行し、時速は1200kmに達するという。奇想天外とも思われるこの構想は、いかにして実用段階へと進んでいるのだろうか。
今年着工、2018年完成予定
ハイパーループは、人を乗せるコンピュータ制御のカプセルと、カプセルが通る高架式のチューブとで構成される。カプセルを磁力で浮上させ、チューブ内を巨大なバキュームで低圧にすると、少ないエネルギーによる高速移動が実現する。上空を移動する飛行機と同様に、空気抵抗が少ないためだ。音速に迫る時速1,200kmを出すことが可能になり、電車では5時間かかるロサンゼルス―サンフランシスコ間をわずか36分で駆け抜ける計算だ。
このマスク氏のアイディアを実現させようとしているのがハイパーループ・トランスポーテーション・テクノロジー(HTT)社だ。カリフォルニア州中央部にあるクエイ・バレーに、長さおよそ8kmにわたる実物大プロトタイプを建設する。
クエイ・バレーが選ばれたのは、「21世紀のモデルタウン」と称して、太陽光発電を利用したグリーンな街づくりをしているからだ。また、リゾート施設やショッピングモールもあるため一千万人の輸送を想定できることも、選ぶ際のポイントとなった。2016年に着工し、2018年の完成を予定している。
今こそ新輸送システムを作る時
既存の鉄道は100年前のシステムに縛られているとディルク・アルボーン氏は指摘する。例えば線路は馬車の車輪に合わせて作られている。幅を少し広げるだけでスピードも安全性も増すにもかかわらず、100年前に決められた幅を使い続けている。
他の交通機関はといえば、飛行機に乗れば荷物を延々と待たなければならず、自動車は渋滞に悩まされる。
また、大気汚染という問題もある。北京だけでなく、北米を含む世界中で汚染は深刻だ。化石燃料を使う輸送手段から、持続可能な輸送手段へと切り替えるべき時が来ている。
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