「面」で捉えた地域ブランド タカラは足元にあり!

「地方創生」の号令のもと、各自治体では「地方人口ビジョン」と「地方版総合戦略」の策定を2015年度中に進めてきた。4月からは、新型交付金が本格的に実施され、地方版総合戦略に基づく事業・施策が実行に移される。

地域の新たな経済活動や観光の資源となるものは何か。そのひとつの切り口が「食」だろう。全国1000を超える地域を訪れ、「食からの地域再生」をプロデュースしてきた金丸弘美氏は、「地域には持続的なブランド形成が必要」と話す。

「地域の食を売り出したいという相談はよくありますが、新しいパッケージをつくったり、ゆるキャラをつくるだけでは効果的ではありません。具体的に地域を振興し、経済がまわり、持続的な社会をつくるには、ブランドが不可欠です。ブランド形成には、地域について徹底的に調査し、その地域特有のブランドの“背景”を明確につくることです。それらをバイヤーとマスコミに紹介していくことで、ブランドが拡散し、経済発展にもつながります」

タカラは足元にあり!

―地方経済活性化戦略

  1. 金丸弘美(著)
  2. 本体1,600円+税
  3. 合同出版

 

地域の文化度を高める

金丸氏は、必ず現地に入り、食を取り巻くあらゆる環境を調べる。自然環境、まちづくり、農産物や海産物とその食べ方、どのような環境変化があるのかなど幅広く調査する。調査をもとに、農業者、研究者、シェフ、酒造など地域の人々を立体的につなぎ、ひとつのブランドを作り上げている。この手法は、イタリアのスローフードもヒントになっているそうだ。

「“面”として地域の文化を捉えることが重要です。地域の人々の各々の得意分野を持ちあわせて、点と点をつないでいくと面となり、他の地域にはない魅力を発揮することができます」

本書では、これまでにできていた流れから一歩踏み出し、組み合わせを変えて、新たな価値を生み出している地域の取り組みを紹介している。地元の人では気づかなかった魅力を外の視点で見直し、新たな経済活動や観光の動きにつながっている。地方でも都市でも、時代の流れにあわせてニーズが変化していく時代。食、健康、伝統産業などを切り口に、変化に柔軟に対応していくことが必要になるだろう。

金丸弘美(かなまる・ひろみ)
食総合プロデューサー
食環境ジャーナリスト

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