Code for Japan、さらなる先へ 日本型シビックテックを築く

市民自身がITを活用し、地域課題を解決する「シビックテック」の活動が広がっている。その契機の一つは、東日本大震災の支援活動を経て誕生した「Code for Japan」。同団体の代表理事を務める関治之氏は、「新しい寄り合いをつくりたい」と思いを語る。

関 治之(せき はるゆき)一般社団法人コード・フォー・ジャパン 代表理事

――オープンデータの活用を含めて、テクノロジーの力で自分たちが住む地域の課題を解決するシビックテック(Civic Tech)の活動が、全国で盛んになっています。関さんは、2013年にコード・フォー・ジャパン(Code for Japan)を設立され、この動きを牽引しています。
 当初から、ここまで大きく盛り上がると思っていたのですか。

関 始めた頃は、Code forの活動がここまで広がるとは思っていませんでした。Code for Japanが支援する各地のコミュニティは「ブリゲード」と呼ばれます。現在、Code for AizuやCode for Kanazawaなど、全国に33の公認ブリゲードがあります。

全国に広がった背景には、もともと地域で活動している人がたくさんいて、そこに「IT」という課題解決のツールを示したことで、注目を集めたのだと思います。

地域で活動しながらも、行政との距離感をつかむのに苦労していた人たちも多かった。一方で行政も、ITの活用に悩み、どういった人たちと手を組めばいいのかわからなかった。両方のニーズがあったんです。

また、Code for に参加するハードルを低くしたのも、ここまで広がった要因だと思います。特定企業の営利目的ではなく、地域のために活動するオープンなプロジェクトなので、誰でも参加可能です。

データよりも関係性の構築

――自治体のオープンデータの取り組みについては、どう見ていますか。

関 オープンデータに関心を持つ自治体は増えていますが、実際に活用しているところは、まだ少ないのが実状です。

2015年度に総務省の「地域情報化アドバイザー」に任命されたこともあって、自治体から声がかかる機会が増えました。オープンデータについて言えば、自治体が一番知りたがるのは、「どういったデータにニーズがあるのか」、「公開したデータを、どうすれば活用してもらえるのか」など、成功事例についてです。しかし、どのデータにニーズがあるのかは、地域によって異なります。

オープンデータの成功事例はこれから生み出されるもので、確立された方法論はありません。言い換えれば、前例がないことに挑戦できる人がいなければ、成果を出すのは難しいと言えます。自分たちなりの戦略が求められるので、難易度は高いでしょう。オープンデータを上手に活用している自治体は、理解のある職員がいたり、首長がトップダウンで推進していたりします。

――自治体のオープンデータへの理解を深めるために、どういった取り組みをしているのですか。

関 僕は自治体に行っても、オープンデータの必要性を強調しすぎないようにしています。オープンデータの活用で、さまざまな可能性は広がりますが、まずは行政と市民が信頼できる関係を築くことのほうが大切です。

関係性ができる前にデータの話ばかりしてしまうと、結局、公開するデータを増やすことが目的になるなど、「データありき」の議論になってしまいます。それよりも「何のためにデータを公開するのか」といった視点が必要です。

自治体の方には、「まずは地域のコミュニティとうまく付き合うことを考えてください」と伝えています。地域のイベントなどに積極的に参加し、関係性をつくることが大事です。

オープンデータは、対話をつくり出すきっかけの一つにすぎません。顔と顔を付き合わせて話し合える関係が重要で、データだけで何かが生まれるわけではないのです。

活動の持続性が課題に

――Code forのブリゲートは、オープンデータの活用やアプリの開発によって、地域の課題を解決していきます。現在のブリゲートが抱える課題について、どう見ていますか。

関 各地のブリゲートは、Code for Japanの下部組織ではなく、協力し合いながらも自立的に動いていて、人数や規模、母体もさまざまです。参加している人もエンジニアが特に多いわけではなく、地元の経営者やNPOの人など、コーディネーターとして活躍する人も数多く関わっています。

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