電力小売全面自由化で大資本・大手企業以外にチャンスはあるか

2016年4月から電力小売全面自由化が始まる。その電力市場に大きな影響を及ぼすのが、経済産業省が所管する諸制度の設計である。キーパーソンである、山際経済産業副大臣に、電力システム改革のポイントを伺った。
インタビュアー:岸波宗洋 事業構想大学院大学事業構想研究所教授
谷本龍哉 事業構想大学院大学事業構想研究所客員教授(元内閣府副大臣)
織田竜輔 月刊事業構想編集長、環境ビジネス編集室長

 

山際 大志郎 経済産業副大臣、衆議院議員

岸波 事業構想研究所では、電力自由化・地域エネルギー事業をテーマとして全国から約30社が集まり、研究会を開催している。今国会(第189回)で審議されている電力システム改革、改正電気事業法の一部改正法案は、地域でエネルギー事業をつくっていく事業者からすると大変重要な法制度だ。

まずは、法案の趣旨というところからお伺いしたい。

山際 電力だけでなくガス、熱供給まであわせたエネルギーシステム改革を進めなければならないという意識に基づいて、今回の電力システム改革は行われている。しかし、大胆な改革を現実的なスケジュールで進める観点から、改革を3段階に分け、順次法律を3つ作って提出することとした。今回は第3弾なので、改革の総仕上げの段階になる。

電気はガスと異なり、作った時に使用しなければならず貯めておくことが出来ないという特性があるため、自由化した際には電力の融通をすることも考えなくてはならない。系統をつなぐ業務について、地域をまたいでの広域的な調整を行う必要がある。そこで広域的に調整する機関である、電力広域的運営推進機関を第1段階で設立した。第2段階で電力小売全面自由化を措置し、第3段階では既存の電力会社の送配電部門を法的にしっかりと分離をして中立性を持たせることを行う。多くの新規参入者が市場に参加できるように段階的に環境整備を進め、これをもって終了させることとなる。

新市場への2つの期待

谷本 電力自由化は、まず高圧部門の市場自由化がおこなわれ、小売り部門も自由化をする、もしくは自由化していきたいと推進している段階である。

しかし、開放された高圧部門の市場に新規参入者が入れているかというと、残念ながら参入できていないのが現状である。PPS(Power Producer and Supplier; 特定規模電気事業者)-新電力会社が市場参入できるようになったが、開放した部分のわずか4%程度で全体からみると2~3%程度しか新規参入者が高圧部門の市場に入れていない。このような状況の中で競争環境が変わらないと、もし電力市場を全面的に開放したとしても高圧部門と同じように新規参入できないのではないか。なぜ、高圧部門の市場に新規参入者が入れなかったのか、今回の小売り自由化ではどのような点が改善されているのかお教えいただきたい。

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