2015年7月号
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クリエイティブのまち青山

文化の事業化 生活とアートが融合する空間「スパイラル」

小林裕幸(スパイラル館長、ワコールアートセンター代表取締役)

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今年30周年を迎える複合文化施設スパイラル。現代美術、食、ファッション、美容、音楽など、生活を豊かに彩る要素をすべて「アート」と捉えて生活提案を行ってきた。プロデューサーとして「文化の事業化」を担ってきた小林裕幸社長に話を聞いた。

写真提供:スパイラル/ワコールアートセンター 撮影:寺島由里佳

表参道交差点から渋谷方面に向かうと、ほどなくスパイラルの建物が目に入る。開放的なエントランスと、常に新しいイベントや展示が、道行く人々をひきつけ、わくわくさせる。スパイラルは、ワコールの創業者・塚本幸一の肝いりではじまった文化事業である。塚本は、第二次世界大戦で中国、ビルマに派兵され、奇跡的に生還し、終戦直後に京都で婦人装身具の事業を立ち上げた。それが今日のワコールの前身である。

塚本が社長を引退する直前の1985年、設立されたのがスパイラルだ。「からだ産業」ワコールとして、社会との関わりを深め、生活と文化の融合を軸に新しい文化の創造源になることが「スパイラル」の狙いであった。「21世紀をめざしたワコールの事業姿勢と夢を、単なる言葉ではなく、物(形)でもって内外に示す」と塚本は経営方針で述べている。また、建物を設計した槇文彦には、「どこにもないものをつくってください」と依頼している。

メセナではなく「文化事業」

スパイラルは、当初はワコールの文化事業部が担当し、のちにワコールアートセンターに分社化して運営している。当初、「飲食をしながらカルチャーを体験できる」「散歩する感覚でカルチャーと出会える」というコンセプトは画期的なものであった。また、80年代はバブル全盛時期で、企業メセナがもてはやされていた時期であったが、あえて、メセナではなく「文化事業」として永続性を追求していった。

バブルの崩壊とともにメセナを廃止あるいは縮小する企業が多かったなか、あえて事業化にこだわった。事業を永続させるという観点からは非常に先見の明があったといえる。設立当初は外部の専門家の協力を得ながら事業を立ち上げていったが、3年目にプロデュース事業を開始するときに起用されたのが、現在の館長で社長である小林裕幸氏である。

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