本物の「思い」が人を動かす 未来を変えるスピーチの力

ソニー・盛田昭夫氏、出井伸之氏のスピーチ原稿を担当し、クリントン元大統領のスピーチライターとも知己を得るなど、本場・アメリカのスピーチ技術にも精通する佐々木繁範氏が、「思いの伝え方」の要諦を解説。

「思い」を込めて話すことから、すべては始まります。話し手がどのような志を持ち、どのような熱い思いを抱いているのか。その思いを感じとることで、聴き手は心を動かされ、行動へと駆り立てられます。

しかし、昨今、スライドに頼り、話し手の思いがまったく感じられないプレゼンも増えています。思いが無いまま、伝え方だけを工夫をしても、それは表面的な話にしかなりません。スライドは原則的に、語りだけでは伝わりづらい情報を伝える補助手段です。

スティーブ・ジョブズが2005年のスタンフォード大学で行った有名な卒業祝賀スピーチは、多くの人の感動を呼びました。そのときのジョブズは、スライドを使わず、手元の原稿を見ながら平易な言葉で語り続けるというシンプルなスタイルでした。

聴き手のためを思い、心を込めて話をすれば、たとえパフォーマンスが地味でも思いを届けることができます。そうした意味で、スピーチ力があらゆるプレゼンの基本になります。

佐々木 繁範(リーダーシップ・コミュニケーション・コンサルタントロジック・アンド・エモーション代表)

「情報伝達」より 「感情伝達」

スピーチ力は、多くのビジネスパーソンにとって不可欠なスキルです。新しいビジネスを立ち上げるときでも、最初の一歩は、組織のメンバーにその構想を伝えることです。そして、話し手の思い、志、ビジョンに多くの人が共鳴することで、それは実現に向けて動き出していきます。

スピーチ、プレゼンには、「情報伝達」と「感情伝達」という2つの側面があります。前者は、主張、理由、データなどの客観的な情報を、わかりやすく伝えるという側面です。後者は、聞き手に望ましい感情を抱いてもらうという側面です。

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