組織を変革する真のリーダー「イノベーションの 設計者」

「イノベーションを現場で実行させること」は、現代のマネジメント層が抱える課題のひとつである。社内研修やブレスト合宿を行っても、その日限りで現場に落とし込めず、徒労となった経験はあるだろう。個人がイノベーターになるのは一昼夜ではできないが、イノベーションを起こす組織づくりが注目されている。

「イノベーションの設計者」を提唱するのはパディ・ミラー氏。IESEビジネススクールの教授を務めるイノベーション研究者だ。

「イノベーションは現場から起こすべきです。マネジメント層、中間層は自身がイノベーターにならなくてもよい。イノベーションの設計者となり、イノベーションが起こせる環境をつくることが真のリーダーの仕事です」

イノベーションは日々の仕事のなかに― 価値ある変化のしかけ方
パディ・ミラー (著
)トーマス・ウェデル=ウェデルスボルグ (著)
平林 祥 (翻訳)
英治出版
本体1,500円+税

設計者は、日常業務の一環として革新的な行動を実践できる職場環境をつくり、イノベーターとなりうる人物を探し出し、チームで実行するサポートをしていく。その設計者の行動を体系立てた書籍が『イノベーションは日々の仕事のなかに』である。

本書の中で、パディ氏はイノベーションを生み出す「5つの行動+1」を提言した。行動は、(1)フォーカス、(2)外の世界とつながる、(3)アイデアをひねる、(4)アイデアを選ぶ、(5)ひそかに進める(ステルスストーミング)の5つ。そして「あきらめない」という+1だ。

社内政治をくぐり抜けて「ひそかに進める」

「日本企業で特に重要なのは、『ひそかに進める』ことです。日本は教育の深さは世界トップクラスですが、縦割りの組織風土に縛られています。しかしイノベーションを起こすには、社内政治を理解し、くぐり抜けながら進めないとうまくいきません。イノベーションを起こせる部下をサポートするのも、設計者の役割です」

さらにイノベーションの出発点は、「重要な何かに気づくこと」だという。日々の暮らし中に存在する可能性に、現場で気づき、創造的な選択ができることが重要だ。

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