地域創生のカギを握る林業 事業機会広がる「フェアウッド」

違法伐採された安価外材の流入で衰退した国内林業。林業復活と地域創生に向け、政府が本格的に動き始めた。今後、事業機会が急速に広がるだろう林業関連分野において、国産材を軸にフェアウッド100%使用で成長を続ける企業とは。

Soup Stock Tokyoを運営するスマイルズが展開中のファミリーレストラン「100本のスプーン」あざみ野ガーデンズ店。食とインテリア双方のトレーサビリティを追求する同社の理念に則り、北海道産のナラ材を使用し家具を製作

「林業復活は地域創生の一丁目一番地である」。

2014年12月に開催された「第二回林業復活・地域創生を推進する国民会議」における、石破茂・地方創生・国家戦略特区担当大臣の言葉だ。

日本は、国土の3分の2が森林で、森林比率世界第3位という森林資源大国。本来であれば、木材自給率100%は実現可能である。

ところが、安価な外材の輸入によって、日本林業の衰退は留まるところを知らず、自給率は26~27%と低迷。林業関係者の高齢化と後継者不足も進行。戦後に植林された人工林資源は、伐期を迎えているにも拘わらず、荒れ放題という状況だ。

問題はそれだけではない。

米国では、すでに改訂レーシー法(2008年)によって、(合法で、伐採地の森林環境や地域社会に配慮した)フェアウッドの使用が民間企業や個人にも義務付けられ、EU圏も含め、今やそれが世界の潮流となっている。

しかし、日本では、そうした問題への関心は薄く、違法伐採された外材やそれを使った木材製品が流入し続け、世界からバッシングを受けているのである。

日本からそのような外材や製品を一掃するだけでも日本林業は活性化し得るという試算も発表され、国際協調や地球環境保護という観点をも併せ、国産材+海外フェアウッド使用へのシフトは、今や喫緊の課題となっている。石破大臣の発言は、まさにそうした問題意識に基づくものと言えるだろう。

そして、国産材+海外フェアウッド使用という分野における日本のパイオニアとして業界をリードしているのが株式会社ワイス・ワイス代表取締役の佐藤岳利氏(50)である。

ワイス・ワイス代表取締役 佐藤 岳利 氏

同社は1996年創業で、資本金3,960万円、年商5億円。従業員数約20人で平均年齢は33歳。売上構成は家具8割、雑貨2割。

「日本の家具・インテリア業界では、国産材を1%使っているだけで大きな話題になりますが、弊社は、フェアウッド使用率100%を達成し、国産材80%、外材20%となっています」

佐藤氏は事もなげに語るが、そこに至る過程は、想像を絶する苦難に満ちたものだった。

日本のマチュピチュとも称される、宮崎県諸塚村。

 

現地の木材を使い、地名を冠した家具シリーズ「MOROTSUKA」も生まれた

「本当の豊かさ」を求めて

小学生時代に母方の祖父母を相次いで亡くした佐藤氏は、以来、「人が生きる意味」を考えるようになったという。青山学院大学経済学部に進学し、合コン、サークル活動、ディスコでオール...など青春を謳歌しつつも、その想いは消えることはなかった。就職活動期を迎え、続々と内定してゆく仲間たちを尻目に、佐藤氏は、自分の居場所・使命を求めて、米国コーネル大学に“遊学”する。

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