2015年3月号
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地域エネルギー事業参入

オーストリア・ギュッシング 人口4000人の寒村に起きた奇跡

ルイジ・フィノキアーロ(オーストリア大使館商務部上席商務官)

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再生可能エネルギーによる地域活性のモデルとして、世界的に知られているのがオーストリアのギュッシング。小さな村が産業誘致、移住促進に成功した影には、どんな取り組みがあったのだろうか。

自然エネで富を域内循環

ギュッシングは人口4000人のオーストリアの東端に位置する小さな地方自治体。冷戦時代、社会主義国だったハンガリーと接していたギュッシングは、1995年までの40年間で企業立地件数はゼロ、平日は住民の7割が村外に働きに出ており、「オーストリアで最も貧しい地域」と言われていた。

そんな寂しい市を一変させたのは再生可能エネルギーだった。

「それまで電気や熱といったエネルギーは、ほとんどを化石燃料に頼り、すべて市外から購入していました。これを、できるだけ地域のリソースを活用する仕組みに切り替え、流出していた富を市内で循環させようと考えたのです。そこで着目したのが、豊富な森林資源でした」と、オーストリア大使館商務部のルイジ・フィノキアーロ上席商務官は説明する。

1992年に就任したペーター・バダシュ市長の強いリーダーシップのもと、木質バイオマスをつかった地域暖房を開始。1996年にはEUや国と州の支援を受け、再生可能エネルギー研究センターを設立し、木質バイオマス熱併給発電事業を開始した。現在は熱出力8MW、電力出力2MWのプラントを中心に、市内6カ所に地域熱供給プラントを整備。食品ゴミや畜産排泄物を活用した合成天然ガスや、バイオディーゼル燃料も製造するようになった。

取り組みを始めて20年以上で、安価なエネルギーコストや研究開発環境に魅力を感じた企業50社がギュッシング市に立地。大手フローリング会社やプラント設計開発メーカー、再生可能エネルギーベンチャーなどの立地効果で新規雇用は1100人にのぼり、税収は3倍に増加。1991年にはエネルギーコストとして620万ユーロが域外に流出していたが、2005年には1300万ユーロもの富が域内で回るようになった。

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