ホームレスと農業界をつなぎ 「食」と「職」の未来を変える

危機的な衰退が進む日本の農業。農家数の減少、働き手の不足は深刻な問題だ。一方、職のないホームレスや生活保護受給者、ニートは年々増え続けている。「NPO農スクール」は、農と職をつなぎ、二つの課題を同時に解決する斬新な取り組みだ。

小島 希世子(えと菜園 代表取締役)

日本の農家数は、戦前の550万戸から250万戸まで、約半数に減少している。農業従事者の平均年齢は65歳と高齢化が進み、地方の農家では人手不足、後継者不足が深刻な問題となっている。一方、年々増加する生活保護受給者は全国に215万人、職を持たないニートと呼ばれる若者は全国に63万人と、こちらも大きな問題だ。

小島希世子氏が2013年に立ち上げた「NPO農スクール」は、ホームレスや生活保護受給者、ニートの若者などが、“農”を通じ「食べること」「生きること」「働くこと」を見直すスクールだ。様々なプログラムを通して農業のイロハを学ぶことで、職を持たない人々に、農業界への就業機会を生み出している。

「“食卓”と生産現場である“農業”の距離を近づける」をコンセプトにした、無農薬の野菜作り体験農園「コトモファーム」。

「食卓」と 「農業」を近づける

小島氏は、農家直送のオンラインショップと体験農園コトモファームを軸とした「えと菜園」を経営する。

熊本県出身の小島氏にとって、農業は身近な存在だ。地元の熊本で農薬・化学肥料に頼らない農業をめざすことが夢だったが、無農薬・減農薬で農作物を作っても、市場に集め分配する流通システムに乗せては、その時点で他の農作物と混ざってしまう。また、需要と供給で日ごとにキロ単位で決まる価格設定では、大量生産にかなわない。

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