「伝統産業×子ども」 意表を衝くビジネス発想でヒット
今や衰亡の危機に瀕している日本の伝統産業。「世界に誇れる匠の技を失うのはもったいない」と26歳の女性ベンチャー起業家が立ち上がった。果たせるかな、彼女が創出する商品は、今や「購入待ち数か月」というセンセーションを巻き起こしているという。
大ヒットで4か月待ちの商品も
日本各地には、数百年あるいは千年を超える歴史を有する「伝統産業」が存在する。その中には、“日本文化の精髄”として世界的な評価を得ているものがある一方、大多数は衰亡の危機に瀕し、しかもそのことは必ずしも広く知られていない。
こうした状況を憂慮し、「このまま先人の知恵を失って良いのか?」と立ち上がった女性起業家がいる。株式会社和える代表取締役の矢島里佳さん(26)である。
彼女は創業翌年の2012年に、“0から6歳の伝統ブランドaeru”を創出。30~40代の、子どもを持つ親たちや、“孫に贈り物をしたい”祖父母を主要ターゲット層に設定し、日本の伝統技術を用いた乳幼児向け日用品を企画・開発・販売している。
「伝統産業×子ども」という意表を衝く発想で生み出された商品群は、発売されるやセンセーションを巻き起こし、たとえば「愛媛県から砥部焼のこぼしにくい器」などは、取材時点(10月10日)ですでに来年の2月まで待たないと入手できないと聞く。
「(工場生産ではなく)すべて職人さんの手仕事なので、大量生産ができません。そのため、お客様にはご不便をおかけしており申し訳ございません。それでも、手仕事をご理解頂き、お待ち頂けることに大変感謝しております」
現在、販売チャネルは、ネット通販、aeru meguro(aeru目黒直営店)、百貨店(日本橋三越本店、伊勢丹新宿店、西宮阪急、山形屋、佐世保玉屋)、そして各種催事だという。同社の一体何が、そこまでの評価と人気を勝ち得ているのだろうか?
先人の知恵と現代の感性を「和える」
「伝統は革新によってこそ生きる。革新なき伝統は伝承に過ぎない」と言われるが、衰亡に瀕している日本の多くの伝統産業もまた、時代の変化に対応した適切なイノベーションを行なってこなかったために、今のような危機的な状況を招いたと言ってよい。矢島さんは言う。
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