ITの未来はシリコンバレーにあらず 限界集落の経験で商品開発
25年もの間、IT最先端の世界で活躍してきた女性起業家が新たな挑戦の舞台に選んだのは、過疎や高齢化に悩む地方の「限界集落」。地域のニーズを世界へ伝え、田舎発、最先端の商品開発を目指す。
徳島県美波町。人口約7500人の小さな町に、今年5月、地域の高齢者たちが気軽にスマートフォンやタブレット端末などに触れることができる、「ITふれあいカフェ」がオープンした。
座卓を囲み、それぞれタブレットを手に、コーヒーを飲みながら、分からないことはスタッフに質問しながら、おだやかな時間を過ごしている。
立ち上げたのは、たからのやま代表取締役の奥田浩美氏。東京と徳島を頻繁に行き来しながら、高齢者の困りごとやニーズに向き合い、さらにはカフェで得られた知見をIT企業などにフィードバックし、商品開発に活かしたい、との思いでこの事業に取り組んでいる。
「IT技術がどんどん進化する一方で、デジタルデバイドは広がり、一部の人にしか使えない製品だらけになってしまうのではないか、ということをITの最先端で仕事をしてきて実感しました。置いて行かれる人たちの声をすくいあげることこそが、逆にこれからの最先端になると思ったのです」
ITの恩恵を受けず20年前と変らぬ環境の親
奥田氏は、元々、IT関連の国際会議の運営からキャリアをスタート。グーグルやマイクロソフトなどの数千人規模の会議を担当し、2000年独立。最先端のIT技術を日本中に知らせ、知識を広げる活動をしてきた。
生まれは鹿児島県。父親が僻地教育専門の教員だったため、15歳まで過疎地を転々とした。両親は今も鹿児島に住み、70代の母親が父親を老々介護しているという。
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