2014年10月号

災害時の情報共有

災害情報共有システム「Lアラート」

畠良(ヤフー 社長室 コーポレート政策企画本部 政策企画室 総合企画 リーダー)

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災害時に自分の身を守るためには、「どこで、何が、どのように発生していて、どう行動をとるべきなのか」を判断するための正確な情報を入手しなければならない。災害情報共有システム「Lアラート」で情報伝達に携わるヤフーの取り組みについて聞いた。

「公共情報コモンズ」から「Lアラート」へ

「Lアラート(災害情報共有システム)」とは、災害やその発生の恐れなどに関して発表された公的情報を集約して、多数のメディアに一括配信する情報基盤のことで、安心・安全にかかわる情報を迅速かつ正確に住民に伝えられることを目的として整備された。平成23年6月に実用化された「公共情報コモンズ」から、活用の課題解決と一層の普及を目指して、平成26年8月に名称変更をしたものだ。Lアラートとは、災害時に必要な地域の情報をその地域住民に確実に伝達し、また知りたい人が検索できるようにするためのローカルな緊急警報(アラート)を意味する。

国からの国民保護・大規模災害に関する緊急情報を瞬時に伝達する「Jアラート」と一対となる。この情報基盤整備のきっかけのひとつは、平成19年7月に発生した新潟県中越沖地震だった。

自治体から発信される災害情報のほとんどが電話、FAX、記者発表等のアナログ情報だったために、収集、入力、確認に手間と時間がかかり、放送による住民への情報提供の迅速さ、正確さ、きめ細かさ等が欠如していたという反省に基づき、新たな情報基盤設置のための研究会や実証実験を経て約4年後に実用化された。

地方自治体、ライフライン関連事業者など公的な情報を発信する「情報発信者」と、放送事業者、新聞社、通信事業者などその情報を住民に伝える「情報伝達者」とが、この情報基盤を共通に利用することによって、効率的な情報伝達が実現できるようになった。全国の情報発信者が発信した情報を、地域を越えて全国の情報伝達者に一斉に配信できるので、住民はテレビ、ラジオ、携帯電話、ポータルサイト等の様々なメディアを通じて情報を入手することが可能だ。

総務省では、普及・活用における現状の課題に対して、「普及加速化パッケージ」として情報拡充や平時における連携強化等の5つのアプローチで、早急かつ重点的な対策を行ってきた。その結果、Lアラートに参加する自治体・事業者数は伸びていて、一定の成果を上げている。平成26年7月末時点では全国47都道府県のうち運用中21、準備中11、検討中15だったが、平成27年4月末には運用中31、準備中16となり、地域メディア等の情報発信者の参加は287社から400社以上になった。

畠 良 ヤフー 社長室 コーポレート政策企画本部政策企画室 総合企画 リーダー

ヤフーの取り組みと災害情報提供サービス

ヤフーでは、「Yahoo!天気・災害」サービスで、地域ごとの気象に関する警報・注意報、避難勧告などの情報を提供し、「Yahoo! JAPAN」トップページなどにも重要情報を掲載する。避難勧告等の避難情報については、レスキューナウから情報の提供を受けることで、Lアラートに参加していない地域もカバーしている。

また、インターネット検索の際に地名+災害キーワード(例:大雨 長野)を入れれば、その場所の警報・注意報などが検索結果の上部に表示されるようになっている。ほかにも、無料でダウンロードできるスマートフォン用のアプリ「Yahoo!防災速報」では、災害が起こる前に、地震・豪雨・津波などの情報をプッシュ通知で提供している。自宅、実家、勤務先など国内最大3地点を登録でき、位置情報を利用して現在地の情報も通知するので出張先など初めての場所にいても安心だ。

「Yahoo!防災速報」には登録したパソコンと携帯電話のメールアドレス宛にお知らせするサービスもあり、アプリダウンロードとメール版の登録者を合わせて約400万人が利用している。さらに、災害時に住民への情報提供がスムーズに滞りなく行えるよう、約300の地方自治体と災害協定を結び、以下の4点を行っている。

1、避難情報の掲載

2、キャッシュサイトによる負荷の軽減(自治体ホームページへのアクセス集中によるサーバーダウンを防ぐため、「Yahoo! JAPAN」のサーバーでアクセス負荷を減らす)

3、自治体からエクセルなどで提供された避難所等の情報を「Yahoo!ロコ」「Yahoo!地図」サービス上に示す

4、「Yahoo!ブログ」で自治体の災害情報ブログを開設し、情報を提供する

そのほかにも、Lアラートを運営するマルチメディア振興センターの運営諮問委員会やLアラートに関するシンポジウムに参加したり、総務省や自治体などにLアラート普及のためのコンテンツを提供したり、年に一回行われるLアラート利用者等による合同訓練に避難情報のページをテスト環境で見られるように設定して、自治体などの情報発信者が入力した情報が実際にどう表示されるのかをシミュレーションしたりと、Lアラートの普及・改良にも協力している。「民間企業でも一番Lアラートを活用し、そして、普及に役立つ会社でありたい」と言う会社の姿勢がよく表れている。

今後は、避難勧告や土砂災害警戒情報などをいかに本当に必要な人だけに絞り込んで、しかも漏れなく伝えられるか、その精度を上げていくことが課題だという。また、避難勧告と避難指示のどちらがより切迫した状況なのかが住民に伝わっていないために、必要な行動につながらないといった事態を防ぐための啓蒙活動なども大切だ。

そして、数十年に一度の大きな災害の時だけでなく、平時から集中豪雨や熱中症など自分に身近な災害情報を集め、必要な対策を行うことで、住民ひとりひとりが「万が一」のときにも自分の身を守る行動がとれるような訓練を日ごろから重ねることも必要だろう。

「Yahoo!防災速報」を通じてスマートフォンでプッシュ通知

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