広島土砂災害から見えた課題

2014年8月20日午前3時頃、広島市では観測史上最大となる時間雨量121㎜/hrを観測する豪雨となった。これにより一部で多数の斜面崩壊が発生し、死者74名にも及ぶ土砂災害となった。今回の災害から学ぶべき災害軽減策のうち、幾つかを紹介したい。

八木三丁目県営緑ヶ丘住宅上の土石流 写真提供:国土交通省国土地理院

早めに避難情報を提供するための手法開発が急務

この災害では避難勧告発令の遅れが指摘された。土木学会・地盤工学会の調査団の報告書1)によれば、当時の広島市の避難の判断基準に用いている方法は、毎正時の観測雨量と5年確率の予測雨量を用いており、急激に変化する降雨特性に対応できていなかった。また、気象台による1時間後予想雨量(短時間降水予測)を適用しても危険と判断されるのは午前3時以降であり、観測雨量を用いた方法と比べても予測精度の向上は見られなかった。その原因は時間雨量80㎜/hr以上では予測値と実測値とがほとんど一致せず、過少に予測していると指摘している。

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